利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0315

利用課題名 / Title

多層カーボンナノチューブの分析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)その他/Others

キーワード / Keywords

CNT,カーボンナノチューブ,MWCNT,多層カーボンナノチューブ,CVD,製造,量産,低コスト化,電子顕微鏡/Electron microscopy,ナノチューブ/ Nanotube


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

森  彩乃

所属名 / Affiliation

株式会社カーボンフライ

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-007:高分解能分析電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 弊社はマルチウォールカーボンナノチューブの製造・研究を行っており,従来とは異なる製法によりカーボンナノチューブを作製する研究も行っている.今回,東京大学 マテリアル先端リサーチインフラ 微細構造解析部門 所有のUT-007 (TEM 日本電子製 JEM-2010F,加速電圧:200 kV,TEM分解能:格子像 0.10 nm) を用いて弊社製カーボンナノチューブの観察を行った.

実験 / Experimental

 弊社にて無水エタノール中にカーボンナノチューブを分散させ,その液体をCuマイクログリッドに滴下し乾燥させたサンプルを東京大学 マテリアル先端リサーチインフラ 微細構造解析部門 所有のUT-007にて観察した.今回はカーボンナノチューブの直径,層数,カイラリティの観察を行った.

結果と考察 / Results and Discussion

 弊社のカーボンナノチューブは熱CVD法を用いて,触媒をスパッタした基板上に成長させる方法により作製している.今回はその製法に少し工夫を加えて作製したカーボンナノチューブをサンプルとした.今回利用させていただいたUT-007の加速電圧が200kV固定のため,カーボンナノチューブを長く観察していると結晶構造が壊れてしまうことがあった.(図1)初めてTEMを利用したため,以降は加速電圧の適切な選定や素早い観察などをする必要があると分かった.
 従来の弊社製カーボンナノチューブとの違いの一つとして,最外層の外に炭素が付着しているカーボンナノチューブが見受けられた.(図2)図1のように観察により結晶構造が壊れたとも考えられるが,観察初めの時点で炭素の付着が確認できるところもあったため,製法の違いにより原料の炭素がカーボンナノチューブにならず周りに付着したものと考えたほうが自然である.この付着した炭素はカーボンナノチューブを利用した製品のクオリティに影響を及ぼすことが分かっており,よりよいカーボンナノチューブを製造するために製造法の改善が必要だと分かる.
 直径と層数の測定結果を図3に示す.以上より今回観測したカーボンナノチューブの直径は7[nm]~17[nm],層数は5~10層となった.従来の作製方法よりも少し直径が大きいのだが,その理由としては,先に述べたように周りについた炭素の影響が大きいと考えられる.TEM画像を見る限り,どのカーボンナノチューブにも周りに付着物が見て取れ,それはやはり製法の違いからくるものであると考えられる. 今後としては,作製したカーボンナノチューブの傾向(直径や層数,付着物や欠陥)が見てとれる程度の撮影を行い,また今回の製法で炭素の付着物が多い理由を突き止め,それを改善した製法を編み出す必要があると考える.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1, 加速電圧によるカーボンナノチューブの結晶構造の破壊のTEM画像(左:観察初め,右:3分ほど観察した後)



図2, 炭素が付着していると思われるカーボンナノチューブTEM画像



図3, 撮影したカーボンナノチューブの直径,層数


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

 東京大学マテリアル先端リサーチインフラ 森山様,押川様に測定の相談や予約,事務処理,技術支援など多大なご尽力をいただきました.ここに謝意を述べさせていただきます.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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