【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.23】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT0077
利用課題名 / Title
セラミックス結晶粒界の原子構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
次世代ナノスケールマテリアル,電子顕微鏡/Electron microscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
斎藤 光浩
所属名 / Affiliation
日本電子株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-001:低加速電圧対応原子分解能走査型透過電子顕微鏡
UT-002:軽元素対応型超高分解能走査透過型電子顕微鏡(Cs-STEM)
UT-004:環境対応型超高分解能走査透過型電子顕微鏡
UT-007:高分解能分析電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
セラミックス焼結体は、電子回路の基板、プラグなど自動車部品、電子材料のコンデンサーやバリスター、碍子など、様々な用途で使用されている多結晶であるが、その電気的特性および機械的強度のばらつきが大きな問題点になっている。そのような諸特性は、2つの結晶が面する粒界における格子整合性と密接に関係すると考えられているが、その詳細は不明である。粒界諸特性の発現挙動が大きく遷移する対応方位関係のCSL(Coincidence Site Lattice)粒界および僅かに傾角させた非CSL粒界の粒界局所構造については解析が進められている[1]。本研究では、3つの粒界が交差する粒界3重点における原子構造を明らかにすることを目的とした。
実験 / Experimental
酸化マグネシウム(MgO)多結晶体を作製する目的で、FeCoの多結晶体基板の上に、MgOをスパッタリングしてMgO薄膜の作製を試みた。さらにMgO薄膜のみが得られるようFeCo基板のみを削ることで薄片化を行った。MgO膜の結晶性を、汎用透過型電子顕微鏡(CTEM JEOL JEM-2010F)を用いて、観察を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
試料作製は、FeCo基板上のMgO薄膜のみを残すよう、バックシニング法でFoCo基板側から機械研磨、ディンプリングすることで得られたが、イオン研磨の段階でMgO領域だけを残して薄片化するのに困難を極めた。応力差によりMgO膜のエッジがカールしてしまうのを防止するため、MgO膜を20nm程度に厚くすることと、イオン研磨で穴が開かない程度に薄片化することで、MgOのみからなるTEM試料薄膜を得ることができた。 CTEMによる観察では、10nm程度の大きさの粒径の多結晶体が形成されていることが明らかになった。制限視野回折図形から、多結晶体であるだけでなく、膜面法線がMgOの[001]軸に平行になるよう配向していることが明らかになった。これは、基板のFeCoが配向するように熱処理を施していたことから、FeCo基板結晶とミスマッチを最小化するようにMgO粒が基板の結晶方位に対して配向したものと思われる。この配向薄膜は、[001]軸が電子線方向に揃っており、その軸周り回転していることから、TEM観察に適している。今後は、高分解能電子顕微鏡で粒界や3重点の原子構造を明らかにする。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 Plan-view TEM Image of MgO Thin Film along [001] Axis
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] K.Inoue, M.Saito, Z.Wang, M.Kotani, Y. Ikuhara, “The Decomposition Formula of Symmetrical Tilt Grain Boundaries”, Mater. Trans. 56, 1945-1952 (2015).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件