利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0065

利用課題名 / Title

正20面体構造をもつ合金物質の原子構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

金属間化合物, 走査型透過電子顕微鏡,電子顕微鏡/Electron microscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

肖  英紀

所属名 / Affiliation

秋田大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-005:原子分解能元素マッピング構造解析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

正20面体対称性をもつ多面体を局所構造にもつ単位胞の大きい複雑結晶が数多く報告されており、近年それらの特徴的な物性が明らかとなってきた[1]-[3]。本研究では、このような正20面体原子クラスターを含む結晶を合成し、その局所構造や微細組織の特徴を走査透過電子顕微鏡(STEM)により明らかにすることを目的としている。今回は、最近我々が発見したGa-Pd-Tb合金系[4]における正20面体準結晶関連結晶(近似結晶)のPdをPtと部分置換した新たな物質を合成し、それらの局所構造をSTEMにより観察した。

実験 / Experimental

試料は全てアーク溶解法および真空中熱処理することにより作製した。合金を粉砕した粉末試料に対して、球面収差補正200 kV STEM (JEM-ARM200F)により、環状暗視野(Annular dark-field; ADF)像および環状明視野(Annular bright-field; ABF)像を取得した。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig.1に今回観察したGa-Pt-TbおよびGa-(Pt,Pd)-Tb系2/1近似結晶の[001]方位から得られたADF像およびABF像を示す。図中に単位格子および正20面体クラスターのネットワークを示してある。格子定数は2.3 nmであり、この巨大単位格子をもつ立方晶中には、先行研究のGa-Pd-Tb系[4]と同様にTbの20面体構造が見て取れる。したがって、PdをPtに置換した新たな2/1近似結晶が得られた。磁性測定の結果、Ga-Pd-Tb系では反強磁性を示すのに対して、Pt置換した系ではスピングラス的な振る舞いを示すことが明らかになった。今後正20面体構造をもつ物質の磁性解明に向けて、重要な成果を得た。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 (a) Ga-Pt-Tb系および(b) Ga-(Pd,Pt)-Tb系2/1近似結晶のHAADFおよびABF-STEM像.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] K. Deguchi et al., Nature Materials 11 (2012) 1013.
[2] T. Hiroto et al., Journal of Physics: Condensed Matter 26 (2014) 7.
[3] K. Deguchi et al., Journal of the Physical Society of Japan 84 (2015) 023705.
[4] Y.-G. So et al., Journal of Physics: Conference Series 1458 (2020) 012003.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Y G So, Effects of Pt substitution on the formation and magnetic behavior of a Ga–Pd–Tb 2/1 approximant, Journal of Physics: Conference Series, 2461, 012009(2023).
    DOI: 10.1088/1742-6596/2461/1/012009
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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