【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22UT0053
利用課題名 / Title
カルコゲナイド系準結晶物質の作製と物性
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
遷移金属カルコゲナイド, ファンデルワールス準結晶, 低次元物質,トポロジカル量子物質/ Topological quantum matter,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
上村 祥史
所属名 / Affiliation
東京大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
枝川圭一,徳本有紀,浜野晃太朗,金原悠人
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
押川浩之,森山和彦
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
現状で唯一のファンデルワールス準結晶であるTaTe系準結晶は単層剥離による2次元試料作製により特異な電子物性が発現する可能性がある遷移金属カルコゲナイドである。本研究では良質のTaTe系準結晶の作製を目的として、東京大学共用設備マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)の高分解能分析電子顕微鏡(TEM)を用いて試作試料の高分解能観察および電子線回折実験による評価を行った。
実験 / Experimental
微量のヨウ素を加えた原料粉末を高温焼鈍炉で焼結しTaTe系準結晶を作製した。この際種々の熱処理条件を試行して良質試料を得るための最適化を模索した。得られた試料を粉末化、もしくはFIBで薄膜化し、ARIMの高分解能分析電子顕微鏡を用いて高分解能観察および電子線回折実験により相の同定をおこなった。
結果と考察 / Results and Discussion
焼結試料のSEM像を図1に示す。2次元層状物質に頻繁にみられるような、数十μm程度の円盤状の生成物が多くみられる。図2 に薄膜化した試料の高分解能観察結果と電子線回折図形を示す。図2 (a)より、クラスターが正方形や正三角形の自己相似なタイリングに従って並んでいることがわかる。また、図2 (b)で12回対称のシャープな回折点がみられ、強度の弱いスポットも多数確認できることから、これらの領域が正12角形準結晶としての構造完全性が高いことを示している。一方で回折点が少なく対称性が不完全な電子回折図形が見られる領域も認められた。このことから、得られた試料には完全な部分と不完全な部分が混在しており、より良質な試料を得るための条件を究める必要があることがわかった
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 焼結により得られたTaTe試料のSEM像
図2 焼結により得られたTaTe準結晶薄片の(a)HRTEM像および(b)電子線回折図形
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・参考文献1 M. Conrad et al., Angew. Chem. Int. Ed. 37, 1383 (1998).
・参考文献2 J.D.Cain et al., PNAS 42, 26135-26140 (2020).
・日本学術振興会 科研費 新学術領域研究「ハイパーマテリアルの物性とhidden orderの探索」
・CREST (JST) 「フェイゾンエンジニアリング:構造タイル組み換えに基づく新物質創製」
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 徳本有紀、浜野晃太朗、上村祥史、枝川圭一、Ta-Te系2次元ファンデルワールス準結晶の超伝導特性、第27回準結晶研究会、2023年3月1日
- 徳本有紀、浜野晃太朗、上村祥史、枝川圭一、Ta-Te系二次元層状準結晶の超伝導、日本金属学会2023年春期第172回講演大会、2023年3月8日
- 浜野晃太朗、徳本有紀、上村祥史、枝川圭一、Ta-Te系2次元ファンデルワールス準結晶の超伝導、日本物理学会2023年春季大会、2023年3月23日
- 浜野晃太朗, 中川直, 上村祥史, 徳本有紀, 枝川圭一 、Ta-Te系2次元ファンデルワールス準結晶の作製と超伝導、日本物理学会2022年秋季大会, 2022年9月12日
- K. Hamano, S. Nakagawa, Y. Kamimura, Y. Tokumoto and K. Edagawa, “Synthesis of dodecagonal Ta-Te van der Waals Layered quasicrystal” Aperiodic 2022, Jun. 20, 2022.
- 徳本有紀、浜野晃太朗、上村祥史、枝川圭一、Ta-Te2次元層状準結晶の作製と超伝導、日本金属学会2022年秋期(第171回)講演大会、2022年9月22日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件