利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.12.02】【最終更新日:2024.11.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TU0158

利用課題名 / Title

単原子長ゲートによる低環境負荷物質から成る高出力THz帯増幅器の創出/Creation of high output THz amplifier consisting of low environmental-load material with a atomic gate length

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

単原子長ゲート,単原子厚チャネル,テラヘルツ,Beyond 5G,次世代アナログ集積回路,次世代論理集積回路,超低消費電力,ムーアの法則を終焉,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,ナノエレクトロニクスデバイス/ Nanoelectronics device,原子層薄膜/ Atomic layer thin film,ナノカーボン/ Nano carbon


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

佐々木 文憲

所属名 / Affiliation

東北大学電気通信研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

吹留博一,杉野秀明

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

戸津健太郎,森山雅昭,菊田利行

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-205:アルバックICP-RIE#1


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

Beyond 5Gは、SDGs達成に不可欠なSociety 5.0の基盤インフラとなるものである。しかし、Beyond 5Gデバイス候補の多くは、希少(インジウムなど)・有害(ヒ素など)な元素を用いている。Beyond 5Gでは、日本国のみで一兆個以上のデバイスが用いられる。このままでは、Beyond 5GはSDGs達成を阻害してしまうこととなる。そこで、日本が物質・材料分野において高い競争力を保持していることを活かした「低環境負荷物質を活用したBeyond 5Gの構築」こそが、今後Beyond5Gにおいて日本が主導権を握るために不可欠な戦略であると考えられる。本研究開発の目的は、「低環境負荷物質のみで従来よりも高出力なTHz帯(>300 GHz)で動作するトランジスタの創出」という挑戦的な課題を解決することである。具体的には(図1)、我々が保有している「ウエハースケール・グラフェン高品質成長技術」および「二次元半導体物質(MoS2やWS2など、膜厚の位置選択的三次元成長技術」技術を基に、
1. SiC基板上に成長させた低環境負荷材料である単層グラフェンの厚み(0.3 nm)をゲート長としたゲートを作製する。
2. 1.の単原子長ゲートに絶縁膜を介して二次元半導体(MoS2(バンドギャップ2.4 eV)等)を直行して接合させて、低環境負荷物質から成るTHz帯で動作するトランジスタを実現する。
Beyond 5G戦略における位置付け:従来のTHz増幅器(例:InP基板上InGaAs(バンドギャップ~0.7 eV)層を電子輸送層としたトランジスタ)の高環境負荷な元素利用・低出力という弱点を克服した、低環境負荷・THz帯トランジスタが実現される。このようにして、Beyond 5G戦略の新機軸「低環境負荷物質を活用したBeyond 5Gの構築」が可能となる。
将来的な貢献:将来的に、本研究は下記の点で大きな貢献を果たす。
・SDGsへの貢献:低環境負荷物質の活用、伝送速度の向上による超低消費電力化
・周波数資源の有効利用:周波数逼迫の二桁以上の大幅緩和、周波数利用効率の一桁以上の向上、電波干渉の低いTHz帯利用による周波数共同利用の促進
・Society 5.0への貢献:超高速・超大容量・超多接続によるメタバース

実験 / Experimental

SiC基板上グラフェンの上にAl膜(膜厚 30 nm程度)の微細構造物を形成する。Al膜の表面は大気中で酸化される。次に、アルバックICP-RIE装置を用いて、異方性ガス・エッチング(RIE)により微細加工を施し、単原子長ゲート作製を試みた。

結果と考察 / Results and Discussion

SiC基板上グラフェンの上にAl膜(膜厚 30 nm程度)の微細構造物を形成する。Al膜の表面は大気中で酸化される。次に、異方性ガス・エッチングにより微細加工を施し、単原子長ゲート作製を試みた。単原子長ゲートの試作を、次のように二回行った。・第一次試作:フッ素系ガスを用いたRIE・第二次試作として、塩素系ガスを用いたRIEAl膜の存在は、試料の走査型電子顕微鏡を用いた微視的な元素分析により確かめている。以上、「単原子長ゲートの試作」を達成した(図2)。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 研究全体概要



図2 作製した単原子長ゲートの一例


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

謝辞:NICT・Beyond 5G研究開発促進事業 シーズ創出プログラム


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 吹留博一、二次元原子薄膜を用いた超高周波デバイスの研究開発、未来ICTシンポジウム、東京、2023.2.1(招待講演)
  2. 杉野秀明、佐々木文憲、米窪和輝、入沢寿史、松本武雄、大堀大介、遠藤和彦、渡邊一世、吹留博一、低環境負荷物質から成る単原子ゲート・トランジスタの創出、第84回応用物理学会秋季学術講演会、熊本、2023.9.21
  3. 杉野秀明,佐々木文憲,米窪和輝,入沢寿史,松木武雄,大堀大介,遠藤和彦,渡邊一世,吹留 博一、単原子長ゲート構造への二次元半導体結晶の成長、第29回電子デバイス界面テクノロジー研究会、三島、2024.2.2
  4. 杉野 秀明、佐々木文憲、米窪和輝、入沢寿史、松木武雄、大堀大介、遠藤和彦、渡邊一世、吹留博一、グラフェン超極薄ゲート構造への二次元半導体結晶の成長、2024年第71回応用物理学会春季学術講演会、東京、2024.3.24
  5. 吹留博一、単原子長ゲートによる低環境負荷物質から成る高出力THz帯増幅器の創出、SIG連携会合「テラヘルツ波利用高度通信システム」・Beyond 5G研究開発促進プロジェクト、東京、2024.6.25(招待講演)
  6. Hideaki Sugino, Hirai Tanaka, Kazuki Yonekubo, Fuminori Sasaki, Toshifumi Irisawa, Takeo Matsuki, Daisuke Ohori, Kazuhiko Endo, Issei Watanabe, and Hirokazu Fukidome, Orthogonal growth of a Few-Layer WS2 Channel and graphene to implement the atomic length gate and the atomically thinned channel simultaneously, SSDMO 2024, Himeji, 2024.9.3
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:5件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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