【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22TU0155
利用課題名 / Title
ウエハ接合の実用化技術 / Technology for Practical Application of Wafer Bonding
利用した実施機関 / Support Institute
東北大学 / Tohoku Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
異種材料接着・接合技術, 石英・ガラス系材料, 熱処理, 形状・形態観察, 封止,アクチュエーター,MEMSデバイス
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
瀧澤 照夫
所属名 / Affiliation
セイコーエプソン株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
小林知永
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
邉見政浩
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
TU-309:赤外線顕微鏡
TU-251:SUSS ウェハ接合装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
MEMSデバイスを気密封止する実用的手法として、ガラスフリット材による接合[1]がある。ガラスフリット接合の特長としては、1)十分な接合強度、2)良好な気密性、3)様々な表面トポグラフィに適用可能、など[2]が挙げられる。本報告では、凹凸を形成したシリコン表面にガラスフリット材を塗布し、東北大学・試作コインランドリ設備を利用してガラスフリット接合を行い、赤外線顕微鏡を用いて接合状態の観察を行った。特に、パターニングされた領域でのボイド、クラック発生の有無に着目して評価した。
実験 / Experimental
【利用した主な装置】
・TU-251:F-01 SUSS ウェハ接合装置Wafer bonder, SUSS SB6e
・TU-309:G-09 赤外線顕微鏡 Infrared microscope, Olympus/Hamamatsu
【実験方法】
(1)基板準備
ベース基板として厚さ625 µmの6インチSi基板を2枚準備した。ウエハ接合の評価を目的としているため、MEMS素子は搭載していない。最表面には熱酸化を施し、約100 nm程度の酸化膜を形成した。一方、接合するキャップ基板は厚さ280 µmの6インチSi基板2枚を用意し、1枚は平坦形状のままとし、他方には異方性エッチングよるパターニングを施した。ガラスフリット材の下地膜としてやはり酸化膜を約100 nm程度形成した。
ガラスフリット材は焼成温度440 ℃のガラス材を選択し、スクリーン印刷方式による塗布を行った。塗布後は乾燥処理の後、430~440 ℃の仮焼成を実施した。
(2)ウエハ接合
上記ベース基板とキャップ基板をオリフラ合わせで重ね合わせ、SUSSウエハ接合装置(SB6e)にてウエハ接合を行った。接合温度は430~440 ℃、印加圧力1000mbar、とした。ウエハ接合装置の加重に用いられるメンブレン面積Sは222.23 cm-3=0.022223 m-3であるため、荷重F=2.2223 kN≒226.8 kgfと計算できる。但し、1 kgf=9.8 Nとした。十分にウエハの温度が下がってから、装置からウエハを取出し観察をしたところ、両ウエハが簡単には引き剥がせないことを確認した。
(3)赤外線顕微鏡観察
得られた接合基板の接合状態を確認するために、赤外線顕微鏡を用いて観察した。ガラスフリット材は赤外光を透過し難い性質であるため、シリコン材とのコントラストが得られ易い。ガラスフリット材の接合状態について、パターン有り/無しで比較しながら観察を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
パターン形成が無い場合の赤外線画像をFig. 1、パターン形成がある場合の赤外線画像をFig. 2、に示す。画像の濃淡が濃い部分がガラスフリット材による接合部である。共にガラスフリット材が良く潰れた形状を示しており、上述の接合条件にて十分な温度と荷重が加えられたことを示している。 加えて、パターン有り無しの違いによるガラスフリット接合部に大きな違いは見られなかった。即ち、シリコンウエハ上に凹凸があっても、溶融されたガラスフリット材が凹凸のある表面に追従し、良好な接合状態を得られることを示している。また、凹凸に起因するボイドやクラックの発生も見られなかった。以上により、ガラスフリット接合は、他の陽極接合やフュージョン/ハイブリッド接合に対し大きなメリットを有する実用的なMEMS封止技術であると言える。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 IR image of cavities which are bonded by two bare Si wafers
Fig. 2 IR image of cavities which are bonded by a bare Si wafer and a patterned Si wafer
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献
[1] A. L. Hartzell, et al., “MEMS Reliability”, pp.76-78, Springer US (2010)
[2] W-T Hsu, “Wafer Level Vacuµm Packaging for Sensors”, IEEE Sensors 2012 Tutorials, Oct. 28, 2012.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件