利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22HK0075

利用課題名 / Title

鉄鋼材料中の析出物の分析

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

齊藤 元貴

所属名 / Affiliation

名古屋大学工学研究科物質科学専攻 武藤研究室

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-101:ダブル球面収差補正走査透過型電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

炭素鋼の強度と靭性の向上のために、Al、Nbなどを鋼中に微量添加し、これらを微細粒子として析出させ結晶粒を微細化する方法が有効である。これらの複数の析出物が焼ならし過程のいつ、どこに析出するかについては不明な点が多いため、本研究ではTEMを用いて微細析出物の析出挙動を解明する。

実験 / Experimental

AlとNbを添加したJIS SCM420肌焼鋼を1250℃に加熱後、16℃/minの冷却速度で室温まで冷却した。次に、焼ならしを模擬して加熱速度20℃/minで室温から900℃および1070℃まで加熱し、4時間保持後、炉冷した。最後に、焼ならした材料を1085℃で5時間粉末浸炭した。浸炭後の材料を板状に切断し、機械研磨、ディンプル研磨後、ArイオンミリングでTEM試料作製した。観察には球面収差補正電子顕微鏡(Titan3 G2 60-300)を用いた。観察は、Webexミーティングによるオンラインでの測定代行にて行った。

結果と考察 / Results and Discussion

1070℃の焼ならしを行った後、1085℃の粉末浸炭を施すと、一部の結晶粒が周囲より著しく粗大化する異常粒が観察された。一方、焼ならし温度を900℃に低下させると、粉末浸炭後の異常粒成長は抑制された。焼ならし後の試料のTEM分析によると、焼ならし温度が1070℃の場合に比べて900℃ではAlN析出物が著しく微細化していた。しかし、これら析出物が粉末浸炭の過程でどのように変化するかが不明であったため、粉末浸炭後の試料の析出物を調査した。その結果をFig.1に示す。焼ならし直後に比べて、粉末浸炭後は析出物が粗大化したが、それでも焼ならし温度が低いほどAlNのサイズは有意に低下していた。よって、浸炭後の結晶粒組織の変化は析出物の違いによることが明らかとなった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1. HAADF-STEM images and STEM-EDS maps of the precipitates in the samples normalized at (a) 1070 ºC after carburization and (d) 900 ºC after carburization.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Genki Saito, Effects of Normalizing Temperature on the Precipitation of Fine Particles and Austenite Grain Growth during Carburization of Al- and Nb-Microalloyed Case-Hardening Steel, ISIJ International, 63, 727-736(2023).
    DOI: https://doi.org/10.2355/isijinternational.ISIJINT-2022-429
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 焼ならしにおける低炭素鋼中の微細析出物のその場加熱TEM観察
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:1件

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