【公開日:2024.06.17】【最終更新日:2024.06.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22HK0069
利用課題名 / Title
高性能ヘテロ原子ドープ炭素系触媒の開発
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/Electron microscopy,電子分光,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
荻野 勲
所属名 / Affiliation
北海道大学大学院 工学研究院 応用化学部門 触媒反応工学研究室
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
鈴木啓太,吉田すずか
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
固体高分子型燃料電池(PEFC)では、正極反応である酸素還元反応(ORR)に、触媒としてPtが大量に使用されている。しかし、Ptは高価で希少なため、窒素ドープ炭素にFeを導入したFe-N-C触媒などの代替触媒の開発が進められている。Fe-N-C触媒は、ORRで副生するH2O2による活性劣化が課題となっており、解決策の一つとして、炭素の面内結晶性向上が挙げられる。だが、そのためには1100 ℃以上でのアニーリングが必要である。Fe-N-C触媒の合成には、炭素、窒素と Fe源の混合物を700 ℃から1100 ℃での熱分解する方法が使われているが、より高い温度で熱処理すると、ORR反応サイトであるNとFe種が脱離してしまう。これにより、結晶性の向上とORR活性の維持を両立するのは困難であった。本研究では、マイクロ波(MW)処理によるアニーリングとCVD法による原子状のFe種導入を組み合わせて上記の課題克服を目指した。
実験 / Experimental
酸化グラフェン(GO)(日本触媒社製)をNH3水溶液中で水熱処理した。得られた試料をN2流通下1000 ℃で熱処理して窒素ドープGO還元体(NrGO)を得た。NrGOを石英製管型反応器に充填し、シングルモード型空洞共振器と半導体型発振器を備えたMW処理装置にセットした。そして、NH3流通下、放射温度計で試料部の温度モニターしながらMW出力を調整し、温度T = 1000~1400 ℃、5 minでMW照射を行い、試料NrGO-MWTを得た。また、比較のためNrGOを電気炉で加熱処理(CH)した。さらに、NrGOMW1200とNrGOにFeCl2・4H2Oを使用したCVD法でFe担持を行い、NrGO-MW1200-Fe とNrGO-Feを得た。試料の組成はXPS、炭素の面内結晶性はラマン分光測定、酸素還元反応(ORR)触媒活性は回転電極法により評価した。
結果と考察 / Results and Discussion
電気炉を用いた加熱処理(CH)では1050 ℃以上で収率が大幅に低下した。これは、気相NH3の分解により生成したNHxラジカルが炭素をガス化したためと考えられる。一方、MW加熱では比較的高い収率を維持できることがわかった。MW処理の温度が高くなるとラマンスペクトルから得られるID/IG比が小さくなった。このことから、炭素の結晶性が向上したと考えられる。一方、N2中でのMW処理に対し、NH3中で処理を行うとN含有量は高くなり、ORR活性は大幅に向上した。さらに、NH3中1200 ℃でMW処理した試料にFe種を担持したNrGO-MW1200-Feは、NrGOに対し炭素結晶性が向上し、かつNrGOFe並みのORR活性を示した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
関連する研究で特許出願予定のため、報告書の公開猶予期間を設定させていただきました。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Kodai Satoh, Benefits of Using Rapid Microwave Heating in the Synthesis of Metal-Free Carbon Electrocatalysts, Industrial & Engineering Chemistry Research, 63, 4825-4837(2024).
DOI: 10.1021/acs.iecr.3c04455
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:1件