【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.02】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NI5503
利用課題名 / Title
表面ナノ構造による殺ウイルス機能化
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials
キーワード / Keywords
カーボンナノファイバー,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,高度素材識別技術,抗菌・抗ウイルス材料
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
河原 敏男
所属名 / Affiliation
中部大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
自然界に存在するウイルスには、細菌ウイルス、植物ウイルス及び動物ウイルスがある。動物ウイルスの一部は、ヒトに感染して人体に障害(ウイルス感染症)をもたらし、これらを病原性ウイルスと称する。人類は、ウイルス感染症を抑制する闘いを今も続けており、最近でも世界的に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染対策に多大な労力を費やしている。今後もウイルス感染症に対抗する手段の模索は続いていくと予想される。我々は、ウイルスの被害が軽微なもしくは無い世界を創成するために研究を続けている。
ウイルス感染症対策として、ワクチンや治療薬があるが、ウイルスの変異への対応の問題があり、これらは不十分だと思われる。そこで、食用藻類の機能解明を通して第三の対策として生体が本来有する感染防御力の維持・増強を目指してきた。その過程で、藻類に含有される硫酸化多糖体が活性成分の一種であること、さらに生体における感染防御能の増強を介してウイルス感染症抑制をもたらすことを明らかにしてきた。さらに、殺ウイルス機能も併せ持つ材料が存在することもわかった。
その中で、ウイルスを減らすために、食品由来材料の殺ウイルス効果を活用すれば、安全で長期使用が期待できるウイルス対策が可能となると思われる。そこで、その担持方法の研究を行うこととし、ウイルスの少ない空間創成のための薄膜表面の機能化を目指すことにした。
今回は、食用藻類の一種であるアカモク(Sargassum
horneri)を材料として用いた。アカモクは、北海道の東海岸を除く日本全国の浅瀬に自生するホンダワラ科の大型海藻であり、資源量は豊富であるにもかかわらず十分に利用されているとは言い難い一方、これまでに殺ウイルス活性の報告がなされている。そこで、耐性ウイルス出現に結び付くことのない殺ウイルス活性(ウイルス不活化作用)をアカモクに求めて、その機能を評価し、各種基板表面上での機能評価を行った。
本課題では、中規模カーボンナノファイバー室温合成装置を用いて、薄膜試料を作製してもらった。その膜に機能付与した材料開発をすすめることを目的としている。そして、食品由来の安全性の高い材料を超薄膜材料に担持した機能材料開発をめざし、薄膜表面に担持した殺ウイルス材料の殺ウイルス活性、安定性等を評価する。
実験 / Experimental
中規模カーボンナノファイバー室温合成装置等を用いて、Auのナノ突起試料を作製した。成長時間とイオン照射時間を適宜変えた試料を作製し、アカモクエキスを表面に担持して殺ウイルス効果を調べた。表面にA型インフルエンザウイルス(NWS/33、H1N1亜型)を滴下し、30分後のウイルス量を評価した。
結果と考察 / Results and Discussion
Auのナノ突起薄膜のアカモクエキスによる表面機能化により、ウイルス量を1%以下に減らすことが出来た。一方、アカモクエキスを担持した後、洗浄により、殺ウイルス活性が少し低下したが、イオン照射時間が長くなると洗浄に対する一定の耐久性があり、ウイルス量1%以下を保持した。今後、さらに、洗浄と担持性能を検討して、効率的な機能化を目指す。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
対応者:種村眞幸教授
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 江見崇, 常勇進, 渡邉卓巳, 伊藤淳一, 林京子, 河原敏男, “食用海藻アカモク抽出エキスの殺ウイルス効果”, 日本薬学会第143例会 (北海道), 28P1-am1-154, 令和5年3月28日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件