利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.04.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NI5301

利用課題名 / Title

Mn系次世代電池電極材料の開発

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋工業大学 / Nagoya Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

リチウムイオン電池, カーボン系材料,二次電池,資源使用量低減技術


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

園山 範之

所属名 / Affiliation

名古屋工業大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NI-104:中規模カーボンナノファイバー室温合成装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

リチウムイオン電池は高いエネルギー密度のため、現在多くの用途に用いられている。しかし、正極材料として用いられているLiCoO2はCoの埋蔵量が少なく高価であることから、埋蔵量が豊富で安価な代替材料が注目され盛んに研究されている。本研究室の先行研究によりLi2MnO3にAlを固溶し真空下で焼成することで電気化学特性が向上するというデータがあるが、その特性向上の原因は不明のままである。本研究ではAl固溶Li2Mn1-xAlxO3の特性と真空下焼成Li2MnO3の特性を評価し、Li2MnO3におけるAl固溶の効果と、真空下焼成による効果を調査した。また、併せてLi-C材料も室温合成し特性を評価した。

実験 / Experimental

Mn-Al 層状複水酸化物(LDH)を水熱法により合成し、前駆体とした。合成したLDH前駆体にMnCl2・0.5H2Oと二当量分のLiOH・H2Oを空気中で混合し80℃で撹拌し液体を蒸発させた後ペレット状に成型し450℃で3時間空気中で焼成した後、粉砕混合し再びペレット成型し600℃で12時間大気下または真空下で焼成することによりAl固溶Li2Mn1-xAlxO3を得た。試料の同定にはX線回折測定を用い、定電流充放電試験により電気化学特性評価を行った。試料およびケッチェンブラック、PTFEと混合して電極合剤を作成し、対極に金属リチウム、電解液に1M LiPF6 EC:DEC (3:7)を用いて電池を作製した。i-C材料については、中規模カーボンナノファイバー室温合成装置を用いて室温合成した。また電子状態の評価は拡散反射率測定によりバンドギャップを求め、SPRKKR法を用いたDFT計算行った。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig.1に真空下で焼成したAl20%の試料の定電流充放電試験の結果を示す。最大容量は約220 mAh/g程度で25サイクルにおいて容量劣化が見られず、良好なサイクル特性を示した。これはAlを固溶していない真空下焼成したLi2MnO3よりもサイクル特性が良い。このことはAlの固溶により構造が安定化していることを示している。Fig.2に酸素欠損を導入したLi2MnO3と通常のLi2MnO3のDFT計算より求めたDOSの結果を示す。0.6~2.0 eV、3.2~4.6 eV、5.2~6.6 eV付近に新たな占有状態の出現が確認され、元素別のDOSの結果からこの占有状態は酸素欠損に由来することが明らかになった。この結果から、酸素欠損の導入はLi2MnO3の電子導電性改善に寄与することが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Figure 1



Figure 2


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究では、DFT計算を株式会社ダイセルの小出明広博士のご協力の下行いました。小出博士に深く感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Dedetemo Kimilita Patrick, Sodium Polyacrylate Hydrogel Electrolyte Hybridized with Layered Double Hydroxide for Solid-State NiCo/Zinc Battery, Journal of The Electrochemical Society, 169, 040559(2022).
    DOI: /10.1149/1945-7111/ac65b4
  2. Patrick Dedetemo Kimilita, Electrochemical Property of Solid-State MnO2-Zn Battery with the Combination of Improved Cathode and Solid Electrolyte, Journal of The Electrochemical Society, 169, 080527(2022).
    DOI: /10.1149/1945-7111/ac89b7
  3. Wei Ming Lin, Controllable fabrication of Au-nanoprotrusion arrays as a platform for the materials design and characterization, Applied Surface Science, 613, 156011(2023).
    DOI: /10.1016/j.apsusc.2022.156011
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 1. 園山範之, 緒方康平, 山本勝宏,「層状複水酸化物を含むゲルの構造とイオン導電性」,第65回 粘土科学討論会 (島根) 2022年9月7日
  2. 2. 園山範之・唐沢明・野田尚亮, 「ハイブリッド電解質を用いた固体光空気電池の作成」,第41回 固体表面光化学討論会 (東京) 2022年11月15日
  3. 3. 園山 範之、Patrick K. Dedetemo, 「正極と電解質の特性改善を施した二酸化マンガンー亜鉛準固体電池の電池特性評価」,第63回 電池討論会 (福岡) 2022年11月9日
  4. 4. 園山 範之、山口 弦希、糟谷啓仁, 「遷移金属添加に起因する層状複水酸化物のイオン導電率変化」,第48回固体イオニクス討論会(仙台), 2022年12月6日
  5. 1. N. Sonoyama, K. Ogata, G. Yamaguchi, K. Yamamoto,“Structure and Ionic Conductivity for Layered Double Hydroxide Gel”, International Clay Conference 2022 (Istanbul, hybrid) July 28, 2022.
  6. 2. N. Sonoyama , K. Ogata , G. Yamaguchi , K. Yamamoto,“Structure and Ionic Conductivity for Gel Material Containing Nano Size Layered Double Hydroxide”, 17th Asian Conference on Solid State Ionics (Nagoya, hybrid) September 13, 2022.
  7. P. K. Dedetemo, Y. Yoshimi, N. Sonoyama, “Electrochemical Property of Solid-State Manganese Oxide-Zinc Battery Using Fluoride-Ion-Doped 𝜷–MnO2 and Polyacrylamide Hybridized with Layered Double Hydroxide” , 17th Asian Conference on Solid State Ionics (Nagoya, hybrid) September 13, 2022.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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