利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NI0107

利用課題名 / Title

原子分解能分析電子顕微鏡によるアルミニウム合金のナノ組織観察

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋工業大学 / Nagoya Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

アルミニウム基合金,電子顕微鏡/Electron microscopy,資源代替技術/ Resource alternative technology,易循環型材料設計技術/ Recycling-friendly material design technology,資源使用量低減技術/ Technologies for reducing resource usage


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

成田 麻未

所属名 / Affiliation

名古屋工業大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NI-001:原子分解能分析電子顕微鏡群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 アルミニウムに亜鉛およびマグネシウムを添加したAl-Zn-Mg合金は,航空機,鉄道車両および自動車など,高強度が要求される構造部材に適用されている.その強化機構は析出強化型であり,GPゾーの形成およびη'相の微細析出により達成されている.これらは溶体化処理後に急冷し,時効熱処理温度で保持することによって形成し強度に寄与するが,これまでの研究より,溶体化処理後に徐冷した場合においても,急冷した場合と同等かそれ以上の強度が得られることが分かっている1),2).しかしながら,徐冷によって形成するナノ組織については詳しく分かっていない.本研究では,7003合金(Al-6Zn-0.75Mg (mass %)合金)を対象として,溶体化処理後の徐冷がナノ組織に及ぼす影響を評価することを目的とした.

実験 / Experimental

 Al-6Zn-0.75Mg (mass %)合金の冷間圧延板を供試材として用いた.450℃で1時間の溶体化処理を行った後,水冷または徐冷した.徐冷については,電気炉を用いて20℃/hの冷却速度に制御して行い,室温まで徐冷あるいは100℃まで徐冷後に炉から取り出して放冷した.これら試料を湿式研磨後,電解研磨にて円盤状試料とした.得られた試料について,原子分解能分析電子顕微鏡にて組織観察を行った.

結果と考察 / Results and Discussion

 図1に,水冷した試料,100℃まで炉冷および室温まで炉冷した試料における,HAADF-STEM(高角度散乱環状暗視野走査透過像)を示す.いずれの試料も,白いコントラストがZn原子の存在を示しており,原子が濃化してクラスタを形成している様子が示唆された.また,炉冷することでクラスタのサイズが大きくなり,室温まで炉冷した試料では赤丸で示すような規則性を持つナノ組織が観察された.このナノ組織は,GPⅠゾーンの構造として報告されているTCO(truncated cube octahedron)構造3)と類似しており,100℃以下の炉冷によって形成することが分かった.このような組織の形成状態が,炉冷材の強度に寄与するものと考えられるが,TCO構造の詳しい形成状態(サイズや数密度等)については,更なる検討が必要である.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 (a)水冷,(b)100℃まで炉冷および(c)室温まで炉冷した試料におけるHAADF-STEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献を以下に示す.1) C. Rowolt, B. Milkereit, A. Springer, M. Mihara-Narita, H. Yoshida, K. Yamashita, K. Oldenburg and O. Kessler: J. Mater. Sci., 56 (2021), 20181–20196.  2) 吉田英雄,渡辺威郎,八太秀周:軽金属,67 (2017),41–48.3)A. Lervik, E. Thronsen, J. Friis, C. D. Marioara, S. Wenner, A. Bendo, K. Matsuda, R. Holmestad and S. J. Andersen: Acta Mater., 205 (2021), 116574


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 松本空良,成田麻未,佐藤尚,渡辺義見: 徐冷焼入れに伴うAl-Zn-Mg合金のナノ組織形成と時効硬化挙動,軽金属学会 第143回秋期大会(東京),2022年11月12日
  2. 成田麻未,松本空良,佐藤尚,渡辺義見: 種々の焼入れ条件がAl-Zn-Mg合金のナノ組織と時効硬化挙動に及ぼす影響,軽金属学会 第144回春期大会(香川),2023年5月13日-14日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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