利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NI0105

利用課題名 / Title

ArイオンミリングによるCo水酸化物の化学状態変化

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋工業大学 / Nagoya Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies

キーワード / Keywords

コバルト水酸化物, CoOOH,電子顕微鏡/Electron microscopy,イオンミリング/Ion milling,電極材料/ Electrode material,資源使用量低減技術/ Technologies for reducing resource usage


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

吉田 周平

所属名 / Affiliation

豊田自動織機

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

浅香透

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NI-001:原子分解能分析電子顕微鏡群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

球面収差補正走査透過電子顕微鏡を用い、金属CoおよびCo酸化物の電子エネルギー損失スペクトル(EELS)を取得した。CoOOHにおいて、Arイオンミリングで薄片加工したCoOOHと粉末CoOOHサンプルを比較したところ、Co-L3スペクトルがピークシフトしていることが分かった。これはArイオンミリングの影響でCoOOHの化学状態が変化したことが推察される。

実験 / Experimental

電子エネルギー損失分光法による化学状態分析を行った。分析装置として球面収差補正走査透過電子顕微鏡(JEM-ARM200F)を使用した。またエネルギーフィルターにはGIF Quantumを使用し、770eV~810eVのEELSを取得した。Co、CoO、Co3O4、CoOOHの粉末をエポキシ樹脂に包埋し、Arイオンミリング装置(EM-09100ISイオンスライサ)を用い薄片サンプルを作製した。またCoOOHのみ粉末をグリッドメッシュ上に載せたサンプルを作製し、それぞれのサンプルのEELSを比較することでArイオンミリング加工が及ぼす影響を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

 Fig. 1にCo-L端のEELSを示す。それぞれのサンプルでL2、L3スペクトルが検出された。L2、L3いずれの吸収スペクトルにおいても、損失エネルギーがサンプルごとに変化していることが確認できる。Fig. 2に化学式から得られる形式的なCo価数とCo-L3スペクトルの損失エネルギーの関係を示す。おおよそCo価数が増加するのに伴い、Co-L3スペクトルの損失エネルギーも増大する傾向が得られた。しかしArイオンミリングのサンプル間で比較すると、CoOOHはCo価数に対してCo-L3スペクトルの損失エネルギーが小さいことが確認できる。またArイオンミリング加工をしていないCoOOHの粉末サンプルと比較すると、Arイオンミリングのサンプルの方がCo-L3スペクトルの損失エネルギーが約1eV低いことが分かった。この結果よりArイオンミリングの影響によりCoOOHの伝導帯の状態密度が変化し、スペクトルが低エネルギー側にシフトしたことが推察される。以上よりCoOOHはArイオンミリングの影響により、本来の化学状態から変質してしまうことが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Co-L端のEELS



Fig. 2 Co価数とCo-L3スペクトルの損失エネルギーの関係


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

機器利用にあたり、TEM操作のご指導およびご助言いただきました浅香准教授には深く感謝を申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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