利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22RO0023

利用課題名 / Title

細菌に化合物半導体を結晶成長させる制御技術の開拓

利用した実施機関 / Support Institute

広島大学 / Hiroshima Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies

キーワード / Keywords

透明導電性基板、バイオミネラリゼーション、半導体


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

富永 依里子

所属名 / Affiliation

広島大学大学院先進理工系科学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

龍 雅人

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

RO-601:ダイサー


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

利用者らは、バイオミネラリゼーションの機構を用い、細菌に化合物半導体を結晶成長させる技術を新規開拓することに挑戦している。本申請では,細菌の空間分布の制御を将来的な目的とし、報告例のある、透明導電性基板に定電圧を印加することによって大腸菌の集菌が可能な電気回路系を本グループに構築することを目的とした。

実験 / Experimental

本研究では,3電極方式の電気化学測定法を用いた.参照電極にAg/AgClを,対極にPtを,作用電極に透明導電性基板であるITO/ガラスを,定電圧源にポテンショスタットをそれぞれ用いた.ITO/ガラス電極の上にチェンバースライドを接着し,溶液を溜めることができるシステムを構築した.試料として,大腸菌を用いた.LB培地7 mlに菌液を70 μl添加し,37℃で振盪培養を14時間行った.培養した菌を遠心分離で培地と菌に分離し,緩衝液であるPBSに菌を再懸濁させ,光電比色計によるOD値を測定した.細菌が入ったPBSをチェンバー内に添加し,ITO/ガラス電極に定電位を3時間印加した.電圧印加後,新鮮なPBSをチェンバー内に入れて撹拌し捨てる操作を3回行った.そして再度チェンバー内に新鮮なPBSを溜めて蛍光顕微鏡で観察し,ITO/ガラス電極表面の細菌の存在を確認した.蛍光顕微鏡で観察するために細菌のDNAと反応し紫外線を当てると青色蛍光を示す試薬DAPIを用いた.

結果と考察 / Results and Discussion

チェンバースライド内に大腸菌を入れ,ITO/ガラス電極に定電圧-0.2 Vと,-0.6 Vを3時間印加した.電圧印加後のITO/ガラス電極表面を蛍光顕微鏡で観察した結果を図1に示す.ここで,電圧をITO/ガラス電極に印加する前のOD値は,(a) は0.85で,(b) は0.20であった.OD値とは,溶液の濁度を表し, 値が大きくなると濁度が大きくなり,溶液中の菌数が多いことを示している.光電比色計はランベルト・ベールの法則を利用して吸光度の測定を行う装置である.ランベルト・ベールの法則は,以下の式(1)のように表される. ここで,Iは透過光強度,I0は入射光強度, εはモル吸光係数, cは溶質のモル濃度,lは行路の長さをそれぞれ示す. したがって,図1(a) と比べて図1(b) の方が緩衝液内の大腸菌の数が少ないにもかかわらず,電圧印加3時間経過後は,図1(b) の-0.6 Vの定電位を印加した方が,ITO/ガラス電極表面に大腸菌が多く確認された.定電圧値を変えるとITO電極表面へ引き寄せられる菌数が変化しており,大腸菌が本研究で構築した電気回路系において,電圧値に反応することを示す結果といえる.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 電圧印加後の電極表面の蛍光顕微鏡像.
(PowerPoint上明るさ: 50%, コントラスト: 50%)



式(1)


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

基板の切り出しを行い、ご指導くださいました広島大学ナノデバイス研究所の山田真司氏、岡田和志氏に感謝申し上げます。本成果の一部は、科研費JP21K18911およびJST創発的研究支援事業JPMJFR213Rの支援を受けたことによるものです。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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