利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0065

利用課題名 / Title

マキシンの表面構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

マキシン, 表面構造, 導電性,集束イオンビーム/Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

大町 遼

所属名 / Affiliation

名古屋大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

柴田 裕貴

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-105:バイオ/無機材料用高速FIB-SEMシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

マキシン(MXene)は優れた化学的・物理的性質に加え、高い導電性を併せ持つ新奇2次元層ナノ材料として、多くの分野で注目を集めている。我々も独自の単層マキシン作製法と、透明導電フィルムの特性を報告している。しかし、フィルム作製方法の違いによって、導電性が異なる結果が得られている。そこで、薄膜の表面構造を観察することによって、作製方法の違いによる導電性の違いを明らかにした。

実験 / Experimental

市販のアルミ残存多層マキシンから調製した単層マキシン分散液をメンブレンフィルター上に濾過集積した後、プラスチック基板上に転写することで透明導電フィルムを作製した。また、比較として、スプレーコート法によっても、透明導電フィルムを作製した。得られた透明導電フィルムのシート抵抗と透過率を測定した。透明導電フィルムの表面構造を走査型電子顕微鏡SEM-NX5000によって観察するとともに、X線回折(XRD)測定と比較した。

結果と考察 / Results and Discussion

図1aに転写法によって作製した透明導電フィルムを示す。一般的なマキシン透明導電フィルムの作製法として知られるスピンキャスト法と比較して、均一なフィルムが得られている。透過率とシート抵抗の関係を図1bに示しているが、スプレーコート法と比較して、転写法は50~100倍の優れた導電性を示している。 図2に転写法とスプレーコート法でそれぞれ作製した透明導電フィルムのSEM像を示す。転写法では均一な表面が形成されているのに対して、凝集した微粒子状態が多く観察されている。
図3aにXRD測定の結果を示す。転写法は、マキシンの層間距離が2.70nmと近接しているのに対して、とスプレーコート法では3nm以上であり、マキシン間のコンタクト抵抗が転写法のほうが有利であることが示唆された。これは濾過の際に集積した構造を形成するためと考えられる。また、マキシン粉末のスペクトルと比較からも、スプレーコート法では凝集体が集積していることが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. (a) 転写法で作製したマキシン透明導電フィルム. (b) 透過率とシート抵抗の関係.



図2. (a) 転写法と (b) スプレーコート法でそれぞれ作製した透明導電フィルムのSEM像.



図3. (a) XRD測定と (b) 想定するマキシンの集積構造.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究はJST-CREST (JPMJCR19H4), 科学研究費助成金 基盤研究(C)(22K04855)、国際共同研究強化(B)(20KK0087)の支援のもと遂行した。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Yuki Shibata, Fabrication of MXene transparent conductive films via transfer process, Applied Physics Express, 16, 037001(2023).
    DOI: 10.35848/1882-0786/acbbb8
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 柴田 裕貴・水津 理恵・阿波賀 邦夫・廣谷 潤・大町 遼, 日本化学会第103回春季年会, 令和5年3月24日(発表日).
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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