【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.14】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NU0059
利用課題名 / Title
ナノスケール隙間内のDNA分子の挙動解析
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
DNA, nano-scale gap, nanofluidics,電子顕微鏡/Electron microscopy,集束イオンビーム/Focused ion beam
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
福澤 健二
所属名 / Affiliation
名古屋大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
伊藤伸太郎,東直輝,細井勇佑,高島純平,Yi Hongdong
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
DNAの分子サイズ同定は,DNA解析の基本工程の一つとして高速化・高精度化が求められている.ただし,現状の技術において分析可能なDNAサイズは概ね10 kbp以下に限定されている.そこで本研究ではナノスケールの深さの流路(ナノスリット流路)を用いて,10 kbp以上のゲノムDNA(大分子量DNA)のサイズ同定を実現することを目的とした.大分子量DNAは安定状態でランダムコイル構造をもつ.これまでの研究においてナノスリット流路内でDNAを電気泳動させると分子伸長できることが確認できた.伸長した分子がランダムコイル状に戻る時間(緩和時間)を計測することにより,分子サイズを同定できると考えた.これまでにその原理検証には成功しているが,ナノ流路内においてDNA分子が緩和する位置を限定できず,顕微鏡の視野に入らない分子は解析できないという問題があった.そこで今年度は,ナノ流路の深さが途中で変化する二段ナノ流路を作製してこの問題の解決を試みた.深さが変わる部分で緩和が起こるため,そこを視野の中心に設定することにより,すべてのDNAのサイズ分析が実現できると考えた.
実験 / Experimental
二段ナノ流路は,前半部分が深さ数十nmで幅約5~40 µm,後半部分は深さ約百nmで幅約40 µmの流路とした(Fig. 1(a)).前半部分を伸長領域,後半部分を緩和領域と呼ぶ.シリコンウェハを基材としてドライエッチングと集束イオンビームトリミング加工により作成した.集束イオンビーム(FIB)加工機には, ETHOS NX5000(日立ハイテク)を利用した.ナノスリットの両側は,マイクロメートルサイズの流路(マイクロ流路)に接続されている.作成したナノスリット流路の光学顕微鏡写真をFig. 1(b)に示す.マイクロ流路の両端に電圧を印加してDNAを電気泳動する.DNA試料には,YOYO-1で蛍光標識されたλDNA(48.5 kbp)とT4 DNA(166 kbp)を使用した.DNAの観察には蛍光顕微鏡を用いた.
結果と考察 / Results and Discussion
緩和領域に進入した直後のDNA分子の様子を観察した結果をFig. 2に示す.伸長領域で伸ばされたDNA分子が,緩和領域に侵入後,ランダムコイル形状に緩和する現象を観察することに成功した.この時間変化から分子サイズを同定することができ,λDNAとT4 DNAのサイズに違いを従来方に比べ高分解能で判別できることを確認した.さらに緩和領域内に侵入した全てのDNA分子の緩和を観察することに成功した.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 Two-step nano channel device. (a) Schematic of device. (b) Fabricated device (depth of stretching area is 36.2 nm, and relaxation area is 72.4 nm).
Fig. 2 Fluorescence image of stretched DNA molecules relaxing to a random coil shape in the relaxation zone.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Y. Hongdongほか,日本機械学会IIP部門講演会,2023年3月7日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件