【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.14】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NU0057
利用課題名 / Title
シード粒子成長法によって調整されたAuナノ粒子のTEM観察
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
Auナノ粒子,シード成長法,液中プラズマ法,STEM,UV-vis,EXAFS,電子顕微鏡/Electron microscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
小川 智史
所属名 / Affiliation
名古屋大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
吉田朋子,山本宗昭,川口拓実
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Auナノ粒子は局在表面プラズモン共鳴(SPR)によって520 nm程度の波長の可視光を強く吸収するために赤色を呈する。SPRによる吸収波長は粒子径によって異なるため、粒子径の制御が可能になれば広い範囲の可視光吸収が可能となり、広帯域の光吸収が可能な光触媒の開発への期待も高まる[1]。また、表面の活性サイト(エッジやコーナーなど)割合が粒子径に依存して変化し、触媒活性の良否に強く影響するため、活性と表面構造との相関をつぶさに調べるうえでも粒子径の制御は重要となる。本研究では液中プラズマ法によって作製したAuナノ粒子を種粒子として、これをシード成長法[2]によって粒子成長させることでAuナノ粒子の粒子制御法の確立し、粒子径に依存した吸光波長の変化を紫外可視近赤外分光法(UV-vis)によって、Au原子周りの局所構造を広域X線吸収微細構造(EXAFS)分析によって得ることを目的として行った。
実験 / Experimental
Auナノ粒子は液中プラズマ法(SPP)によって作製した[3]。このAuナノ粒子を種粒子として、粒子成長用の前駆体としてHAuCl4 を、還元剤としてH2 O2 を用いて粒子の成長を促した。
本研究では2mMまたは3mMのHAuCl4 水溶液を用いてシード成長を行った。成長後のAuナノ粒子をエラスチックカーボン支持膜付きマイクログリッドに滴下し、真空乾燥とイオンクリーニングののちに走査型透過電子顕微鏡(STEM)観察を行った。UV-vis測定は日本分光製V-730によって実施した。EXAFSはあいちシンクロトロン光センターBL5S1にて溶液状態の試料に対して測定を行うことで得た。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig.1にAuナノ粒子のSTEM像を示す。SPPによる作製後そのまま(as prepared)のAuナノ粒子と比較してシード成長させたナノ粒子は粒子径が大きくなっており、HAuCl4 濃度が濃くなるにつれて大きな粒子が見られる。STEM像を画像解析することで得た粒子径はそれぞれ3.6nm (as prepared)、9.8nm (HAuCl4 2 mM)、12.5nm (HAuCl4 3 mM)であった。これらの粒子径の異なるAuナノ粒子に対してUV-vis測定を行った結果をFig.2に示す。粒子径が3.6nmの試料のSPRに対応する520nm付近のピークは比較的小さいが、粒子径が大きくなるにつれてピーク強度が増大し、わずかながらピーク波長が長波長側にシフトしていることが見て取れる。また、Fig.3にAu L3 端EXAFS振動から得られた動径分布関数(RDF)を示す。標準試料のAu箔に比べてナノ粒子のピーク強度は小さい、すなわち配位数が減少しており、ナノ粒子化による比表面積の増大を反映した結果となっていることが分かる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 STEM images of (a) as prepared Au nanoparticles (Au NPs), (b) Au NPs via seeded growth synthesis using HAuCl4 (2mM) and (c) HAuCl4 (3 mM).
Fig. 2 UV-vis spectra for Au NPs before and after the seeded growth synthesis.
Fig. 3 Radial distribution functions (RDF) obtained by Au L3-edge EXAFS for Au NPs before and after the seeded growth synthesis.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献
[1]
K. Yu et al.,
Phys. Chem. Chem. Phys.
8,
5417 (2006).
[2]
N. Saito et al.,
Thin Solid Films
518,
912 (2009).
[3]
X. Liu et al.,
Langmuir
28,
13720 (2012).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件