利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0048

利用課題名 / Title

SISPテトラブロック共重合体のミクロ相分離構造の精密分析

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

ブロック共重合体, ミクロ相分離構造, TEM, TEMトモグラフィー,電子顕微鏡/Electron microscopy,集束イオンビーム/Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

高野 敦志

所属名 / Affiliation

名古屋大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

草野杏佳,北原彩音

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

樋口公孝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-103:高分解能透過電子顕微鏡システム
NU-105:バイオ/無機材料用高速FIB-SEMシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

互いに非相溶な異種高分子同士が共有結合で連結されたブロック共重合体は、バルク状態において数十nm程度の周期を有する「ミクロ相分離構造」を形成する。その構造は構成成分の分子量、組成、結合様式等などの分子パラメータに応じて多様に変化させることができる。最近、A1 BA2 Cテトラブロック共重合体においてφBC 、φA =0.7~0.8の条件で、2つのA鎖の比α=φA1A2 を変化させると棒状タイリング構造やらせん状構造を形成することが報告されている。その中でも、α>3では雄ねじ状Cドメインの周りにコイル状Bドメインが1重に巻いたらせん状構造が形成されることが確認されている。また、B鎖とC鎖の比β=φCB を変化させた場合の検討も行われ、βを1→2へ増加させると六方充填した棒状Bドメイン周りの棒状Cドメインの配位数(本数)が増加することが確認されている。本研究ではこれらの知見を利用してα、βの両者を大きくした試料(α>7、β≒1.5)の調製を行い、2D-、および3DTEMによりモルフォロジー解析を試みたところ、二重らせん構造の発現が確認された。

実験 / Experimental

リビングアニオン重合法によって、ポリ(スチレン-b-イソプレン-b-スチレン-b-2-ビニルピリジン)からなるS1 IS2 Pテトラブロック共重合体を合成した。構造観察用のバルク膜は、THF溶液から溶媒キャスト法によって調製した。ミクロ相分離構造の解析はTEM(JEM-2100F)を用いて行った。また、3次元構造観察のために、FIB-SEM(NX-5000)を用いて、直径約300nm、長さ約5nmの円柱状試料を作成後、TEMで約-80~80度の範囲で2度毎にトモグラムを採取し、3次元再構築を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

Figure 1a、1cにそれぞれOsO4 のみ、およびI2 のみで染色されたS1 IS2 P 試料のTEM像を示す。
Iドメインはらせん状構造(Figure 1a)、Pドメインは雄ねじ状構造(Figure 1c)を形成していることが観察された。さらにTEMトモグラフィーによるIドメインの3次元再構築像より、2重らせん構造であることが分かった(Figure 1b)。このような構造発現の理由は、α、βを増加させた分子設計がPドメイン周りのIドメインの配位数(本数)の増加をもたらし、1重から2重のらせん構造へと転移させたのではないかと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Figure 1. (a) TEM images of I domain stained by OsO4, (b) 3D TEM images of I domain, (c) TEM images of P domain stained by I2, (d) Schematic drawing of I/P domains.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 草野杏佳、織戸烈、高野敦志、鈴木次郎、松下裕秀、高分子討論会予稿集、2022、2Pd056(ポスター発表)(9/6/2022、札幌)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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