【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NU0036
利用課題名 / Title
メタン分解による水素生成触媒の動的観察
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
環境TEM,加熱,触媒,H2,CH4,電子顕微鏡/Electron microscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
高木 英行
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
徳永 智春
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
樋口公孝
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
環境負荷の少ないエネルギー源として、H2 の利用が進められおり、今後H2 の需要拡大に応えるべく、環境負荷が少なく、低コストで且つ大量にH2 を生成する必要がある。
H2 を生成する手法の一つとして、金属粒子を担持体上に分散させた触媒を加熱し、メタン環境に保持することにより、金属粒子がCH4 を分解し生成する手法が検討されている。この手法は、CH4 分解過程において、H2 の生成と共に、炭素からなる構造物が触媒や担持体上に析出する。そのためH2 生成を連続的に行うためには、H2 生成過程において、析出した炭素構造物を触媒上から除去するプロセスを経なくてはならない。また、分散させた金属粒子が、担持体上に残っていなくては、連続したH2 生成プロセスを実現することができない。そこで本申請では、H2 生成触媒としての使用が期待されている、金属粒子を分散させたセラミックス上に担持させた触媒を電子顕微鏡内部のCH4 雰囲気中において加熱し、炭素構造体の生成過程と、金属粒子が触媒上でどのような振る舞いをするかを明らかにし、将来的な触媒設計の知見を得ることとした。
実験 / Experimental
セラミックスに金属粒子を分散させた触媒を粉砕したTEM観察試料を用意した。試料を通電加熱型ワイヤーホルダーの加熱体上に載せ、環境型超高圧透過電子顕微鏡(HVETEM、1000K RS)内に導入した。真空中においてワイヤーに電流を流すことで試料を加熱し、その後、CH4 を流した。HVETEM内の圧力は真空時は10-2 Paであり、メタン流入時は100Paであった。真空中加熱時からCH4 ガス導入時にいたるまでビデオレートの速度で変化の様子を動画として記録した。
結果と考察 / Results and Discussion
真空中加熱時には試料形態に変化は観察されなかったが、CH4 が導入されると、触媒からファイバー状の構造物が成長し始めた。このファイバーの電子エネルギー損失分光法による元素分析を行ったところ、炭素のみが検出されたことから、CH4 の分解により炭素ファイバーが形成されることが判明した。ファイバーは100nm/minで長手方向に成長し、その先端近傍には、触媒中に分散させた金属粒子とみられるコントラストが確認された。ファイバーは直線的に成長するのではなく、緩やかにカーブを描きながらも成長していた。その後、担持体であるセラミックスにファイバー先端が触れると、先端に存在していた金属粒子が、セラミックス上に拡散し消失した。
以上の結果から、触媒上に存在していた金属粒子は、全てとは言い切れないが、一部はファイバー先端に捕縛されることが明らかになると共に、金属微粒子がセラミックス上を粒子の形態を保ったままではなく、表面を濡らすように拡散することが判明した。これは、作製した触媒を用いてH2 を生成する場合、触媒から成長する炭素ファイバーを回収することで、触媒を構成する金属粒子も同時に採取されてしまうことを意味する。これによりCH4 の分解効率が低下し、H2 採取量が低下することが危惧された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件