【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NU0029
利用課題名 / Title
無機結晶における転位構造観察
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/Electron microscopy,セラミックスデバイス/ Ceramic device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
中村 篤智
所属名 / Affiliation
大阪大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
無機結晶性材料の各種物性は結晶中の格子欠陥の構造に強く影響を受ける.そのため,格子欠陥の微細構造を詳細に調査することが重要である.本課題では,無機結晶における転位や粒界の構造解析を行うことを目的としている.本年度は主にJEM-1000K RSを用いて,セラミックス材料中の粒界および転位の構造観察を行った.その結果,各種多結晶中の粒界構造と転位密度を評価することに成功すると共に,高分解能電子顕微鏡法を用いて転位のコア構造を解析することができた.無機結晶の転位組織と局所構造の解明に当たって極めて有益な結果が得られており,今後も引き続き装置利用をしていく予定である.
実験 / Experimental
今年度も,JEM-1000K RSを利用して,様々な無機結晶性材料の格子欠陥構造の解析を行った.観察対象とした結晶格子欠陥は,レーザー合成により作製されたセラミックス多結晶中の内部組織,圧縮変形された結晶中の欠陥組織ならびに双結晶法で作製された粒界である.観察手法は明視野・暗視野法ならびに高分解能電子顕微鏡法である.
今年度の主な観察対象は以下の通りである.・TiO2双結晶の粒界転位・レーザー熱により合成されたTiO2多結晶,YSZ多結晶の内部組織・変形されたBTOおよびSTOの内部組織など
なお,TEM試料作製は利用者自身の研究室にて行っている.
結果と考察 / Results and Discussion
昨年に引き続き実施したTiO2 双結晶の観察においては,双結晶に沿って転位が規則正しく整列していることが確認できた.また,高分解能電子顕微鏡法による観察では,転位のコア領域が明瞭に確認でき,バーガースベクトルを特定することが可能であった.また,レーザー熱により合成された多結晶材料の観察においては,結晶粒サイズの同定とともに,粒内でのポアサイズやドメイン構造,転位の有無を調査した.レーザー熱合成の利点がおおいに理解できた.さらに,塑性変形されたSTOおよびBTOについては,転位組織の観察を行った.このような結晶の格子欠陥構造の解析に当たって,超高圧電子顕微鏡(JEM-1000K RS)を用いた観察が極めて有効であった.今後も継続的に装置利用・共同研究を続けていきたいと考えている.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
技術職員の樋口公孝様には共同研究を実施させていただきました.また,その他教職員の皆様方に装置利用および共同研究に当たり様々な点でお世話をいただいている.深く感謝申し上げます.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Lukas Porz, Microstructure and conductivity of blacklight‐sintered TiO2, YSZ, and Li0.33La0.57TiO3, Journal of the American Ceramic Society, 105, 7030-7035(2022).
DOI: 10.1111/jace.18686
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Lukas Porz, Dislocation-based high-temperature plasticity of polycrystalline perovskite SrTiO3, Journal of Materials Science, 58, 2430-2438(2023).
DOI: 10.1007/s10853-022-07405-3
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Maximilian Kissel, Enhanced Photoconductivity at Dislocations in SrTiO3, Advanced Materials, 34, (2022).
DOI: 10.1002/adma.202203032
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Atsutomo NAKAMURA, Toward a New Understanding of Dislocation Behavior in Inorganic Semiconductor Materials and Further Development of Novel Functionalities from Dislocations, Journal of the Society of Materials Science, Japan, 71, 742-748(2022).
DOI: 10.2472/jsms.71.742
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Masato Yoshiya, Frontiers of Novel Functionality at Dislocation Cores, Materia Japan, 61, 629-633(2022).
DOI: 10.2320/materia.61.629
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件