利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0022

利用課題名 / Title

カーボンニュートラル向け触媒のオペランドTEM解析

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

オペランド,メタネーション,触媒,電子顕微鏡/Electron microscopy,質量分析/Mass spectrometry,エネルギー貯蔵/ Energy storage


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

田中 展望

所属名 / Affiliation

トヨタ自動車株式会社 

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

荒井重勇,武藤俊介

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-101:反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡システム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

カーボンニュートラルに向けた、CO2 を有価物に転換する触媒が世の中で着目されている。今回、オペランドTEM技術の応用探索として転換触媒の1つであるNi/CeO2 を題材として、メタネーション反応模擬環境下でのNi粒子の構造変化を四重極質量分析計(QMS)搭載の反応科学超高圧電子顕微鏡(RS-HVEM)によって直接観察することを試みた。

実験 / Experimental

JEM-1000K RSにて、CeO2 ナノ結晶に担持されたNi触媒粉末試料を室温から600℃程度まで加熱しながら、Ne希釈H2 /CO2 模擬ガス(H2 :CO2 :Ne = 20:5:75)を導入し、反応模擬環境下でのオペランド計測(QMSによる放出及び消費ガス反応分析およびTEMその場観察)を実施した。QMSではガス全体の導入量,水素ガス及び二酸化炭素の消費,メタン生成を,それぞれm/z=22(Ne同位体), 2, 44, 15(メタン分子の主要フラグメントCH3  )によってモニターした。

結果と考察 / Results and Discussion

まずNi/CeO2 触媒を活性化させるために,TEM内真空下において200℃まで昇温した。その際の典型的なTEM像およびエネルギーフィルター像による元素分布像を図1に示す。元素分布像におけるCe分布の下側が暗いコントラストを示すのは,入射電子が透過しないほど粒子が厚いためである。活性化処理によってNi粒子が金属化していることがわかる。化学量論組成のガス導入時において,当該触媒下での直接メタネーション反応(4H2 + CO2 → CH4 + 2H2 O)はおよそ180℃から200℃の間で開始することがわかっている。約100℃で模擬ガス(全圧130Pa)導入後のNi微粒子と思われる部分の典型的TEM像を図2(a)に示す。図2(a)中央部から取得した酸素K殻EELS(図2(b))から,このときNi微粒子表面は酸化物(NiO)でおおわれていることがわかる。  メタネーション反応が起こっている推定温度200-300℃まで昇温した際のビデオ画像から抜粋したTEM像を図3に示す。図3(b)は(a)のFFTパワースペクトルにおいて,金属Niのスポットを選択・マスク処理して逆FFT変換したものである。Ni微粒子の表面酸化物層中から金属微粒子が還元されて核生成する様子が観察される。このときQMSのモニターチャートには明確なメタン生成などが検出されなかった。この原因を調べるため,ガス圧を変えたときの検出目的ガスの検出強度をプロットしたものを図4に示す。ガス圧を上げても水素ガスやメタンガスの検出感度は,ある圧力以上では全圧に比例して上昇しないことがわかった。このため,今回のオペランド実験では,メタンガスの生成量が検出限界以下であることが示唆され,TEM内に導入する試料の量を増やすことが次の指針として提案される。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1(a) 還元処理後のCeO2 ナノ粒子上のNi微粒子(TEMゼロロス像),(b)エネルギーフィルターによる元素分布像(赤:Ni 緑:Ce)



図2(a)模擬ガス導入時のNi微粒子の高分解能TEM像.(b)(a)の中央部分から取得したO-Kスペクトル.



図3(a)推定温度300℃におけるNi微粒子のTEM像.(b)(a)にFFTフィルターをかけた逆変換像.金属Ni部分が明るいコントラストを示す.



図4 今回の模擬ガス導入時においてQMSのH2及びCH3の検出強度と導入ガス圧力の関係


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は名古屋大学未来材料・システム研究所 武藤俊介教授との共同研究として実施した。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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