【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.27】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22WS0090
利用課題名 / Title
Cu箔の上へのアルミ蒸着
利用した実施機関 / Support Institute
早稲田大学 / Waseda Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
成膜,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
児島 映理
所属名 / Affiliation
早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
星野勝美
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術相談/Technical Consultation(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
リチウムイオン電池と異なり資源制約が少ない安価な材料を使用しながらも、高いエネルギー密度と優れた安全性を両立することができる「フッ化物電池」の研究開発を実施。産学官で連携して材料開発から電池設計・試作や特性評価・解析を行っており、早稲田拠点として電池設計を行っている。その中でAl材料は負極材料としての高いポテンシャルがあるが、Al箔集電体にAl合剤電極を塗工する構成をとっているために電解液内のリチウムと反応してリチウムアルミ合金化することによって箔構造が崩れ、集電を維持できないもしくはAlの表面酸化膜が抵抗となり充分な電気化学特性を引き出せないという課題がある。
実験 / Experimental
電気化学特性に優れた電池作製を目的とし、Cu箔上に電子ビーム蒸着装置(EBX-6D)を用いてAl膜を蒸着してCu箔による集電とAl膜による活物質を兼ね備えた電極を作製し、充放電後にも集電を維持可能な電極を作製した。
結果と考察 / Results and Discussion
図1aにCu箔上にAl蒸着した電極の写真を示す。電子ビーム蒸着装置(EBX-6D)
を用い、1.0cm×1.5cmのCu箔上に1μm厚1mg/ cm2の均一なAl蒸着膜を形成した。
図1bに比較としてAl箔上に3 mg/ cm2塗工したAl合剤負極の写真を示す。
面積1×1cm2の負極を作製し0.02C~-3.4V vs. Ag CCCV で電気化学的リチエーション
を行いAl活物質のLi活性化した後、放電0.01C-~-1.6V vs.Ag、充電 0.01C~-2.87V vs.Agで充放電を行い、負極としての電気化学特性を評価した(図2a)。比較としてAl箔上にAl合剤(重量比Al : PvdF=91 : 9)を塗工した負極の電気化学特性を図2bに示す。
図2a,bの比較からCu箔上Al蒸着負極はAl箔上Al合剤負極に比べ十分な容量が得られないことが分かった。
この原因を調べるため、充放電後の電池を解体し、電極形状の観察を行った。
電極の写真を図3a、bに示す。図3aはCu箔上Al蒸着負極、3bはAl箔上Al合剤負極である。図3aではCu箔集電体形状に変化はないがAl蒸着膜は銀色の均一膜から黒色の微粉となりセパレータへの付着も認められた。一方、Al箔上にAl合剤を塗工した負極はAl集電体に黒色化と凸凹の変形が認められるが、Al合剤負極部分は充放電前の形状を保っていた。
Al活物質はLi活性化の際に下記の反応によってAlがAlLi合金化する。AlLi合金化は体積変形を伴い、微粉化する場合がある。
Al +x Li + + x e - + yF - → AlLi x-z F y +Z Li+ (y + Z)e - [1]
Cu箔上Al蒸着負極はLi活性化の際にAlLi合金化により体積膨張してAl負極自体の形状が崩れてしまったため充放電不能となったが、Al合剤負極はPvdFバインダを9wt%含み電子伝導性がAl箔集電体よりも乏しい。そのためAl合剤負極よりもAl箔集電体のAl-Li合金化が加速されたと考える。Al箔のAl量はAl蒸着量よりも過剰であるためAlLi合金化後も集電を保ち充放電ができたと考える。今回のAl蒸着によっては集電体構造の維持改善を図ることはできなかったが、今後Cu/Alクラッド材を用いる等の他アプローチによって検討を重ねたい。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1a Al蒸着したCu箔
図1b Al合剤塗工したAl箔
図2a Cu箔上Al蒸着負極
図2b Al箔上Al合剤負極
図3a 充放電後のCu箔上Al蒸着負極
図3b充放電後のAl箔上Al合剤負極
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
NEDO事業 RISING3 Reseach1 フッ化物電池の研究開発
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件