利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.10.22】【最終更新日:2024.10.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22SH0031

利用課題名 / Title

タンデム質量分析用温度計イオンの開発

利用した実施機関 / Support Institute

信州大学 / Shinshu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

イオン解離現象,質量分析/Mass spectrometry


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

浅川 大樹

所属名 / Affiliation

国立研究開発法人 産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析法の普及により、生体分子由来のイオンの解離現象について興味が持たれている。最も一般的に利用される解離手法は衝突誘起解離(CID)であり、イオンと不活性ガスの衝突によりイオンを加熱し、イオンの解離を行う。CIDによるイオンの内部エネルギーの変化は、「温度計イオン」を測定することで推定することができる。この温度計イオンは、イオンの温度を表す内部エネルギーとイオンの分解速度、分解エネルギーの関係がわかっている化合物の総称である。これまで、温度計イオンとして、ベンジルピリジニウム類が広く用いられてきが、推定可能な内部エネルギー範囲が限定的であったため、新しい温度計イオンの探索が必要とされている。

実験 / Experimental

Gaussian 16を用いた量子化学計算によってベンジルピリジニウム類の解離エネルギーの検討を行ったところ、ペンタフルオロベンジルピリジニウム、および4-トリフルオロメチルベンジルピリジニウムが新しい温度計イオンの候補となることを明らかにした。ペンタフルオロベンジルピリジニウム、および4-トリフルオロメチルベンジルピリジニウムをそれぞれペンタフルオロベンジルブロマイド、4-トリフルオロメチルベンジルブロマイドとピリジンの反応で合成した。核磁気共鳴と質量分析によって生成物の構造の確認を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

ペンタフルオロベンジルピリジニウム、および4-トリフルオロメチルベンジルピリジニウムをタンデム質量分析法によって分析を行った。衝突誘起解離によるイオンの解離実験を行ったところ、ピリジンの脱離が起こり、対応するベンジルカチオンが選択的に生成することが明らかとなった。この結果から今回合成を行った化合物・ペンタフルオロベンジルピリジニウム、4-トリフルオロメチルベンジルピリジニウムは単一の分解生成物を生じ、温度計イオンとして有用な特徴を有していることがわかった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Daiki Asakawa, Pentafluorobenzylpyridinium: new thermometer ion for characterizing the ions produced by collisional activation during tandem mass spectrometry, Analytical Sciences, 39, 2031-2039(2023).
    DOI: https://doi.org/10.1007/s44211-023-00419-0
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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