【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.02】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22KU1052
利用課題名 / Title
水電解セルの性能向上に向けた検討
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
電子分光,電極材料/ Electrode material,ナノワイヤー・ナノファイバー/ Nanowire/nanofiber
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
坂本 奈穂
所属名 / Affiliation
九州大学工学府先進水素システム研究室
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
永山まゆみ
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
水素を製造する水電解装置の電極触媒材料は、酸化イリジウムが使用されている。その電極触媒について、新しい構造のものを作製し、作製したサンプルの表面近傍の構成元素について調べるため、X線光電子分光評価をおこなった。
実験 / Experimental
作製したサンプル1(fiber_1)とサンプル2(fiber_2)を試料台に乗せ、X線光電子分光を実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
XPS 分析において得られたサンプル1(fiber_1)とサンプル2(fiber_2)の広域結合エネルギースペクトルを 図1 に示す。広域結合エネルギースペクトルより、表面に Ir、O、および C の各元素が存在することが確認できた。ここで、検出された C は試料を固定させるために用いたカーボンテープ由来であり、C1s ピークを用いた校正をおこなった。その上で、Ir4f に着目し、 58~70 eV 領域の XPS 分析結果をそれぞれ図2 に示す。観察された主なピークは、低エネルギー側からそれぞれ Ir4f7/2、Ir4f5/2 のピークとして帰属できる。さらに、これらのピークを分離解析した結果を、図2に示すとともに、表1 にまとめている。アメリカ国立標準技術研究所(NIST, National institute of standards and technology)が提供す るデータを参考に解析すると、IrO2に由来するピークが Ir(III)として 61.1 eV と 64.1 eVに、 Ir(IV)として 62.4 eV と 65.0 eVに現れ、主成分であることがわかった。一方、低エネルギ ー側の 60.9 eV に金属 Ir のピークも含まれていることがわかった。つまり、サンプル1 とサンプル2 は表面にわずかに金属 Ir を含んでいることが確認できた。 市販 IrO2 の表面には Ir(0)は含まれないことがわかっている。 したがって、サンプル1 とサンプル2 はわずかに金属 Ir を含むものの、両試料は主に Ir 酸化物で形成されていると考えられるが、一般に、測定前に空気中でサンプルを移動する際に、金属表面に酸素が吸着することが知られている。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 XPS測定から得られた(a) (b)Ir系ファイバーの広域結合エネルギースペクトル
図2 XPS分析から得られたIr系ファイバー((a)fiber_1, (b)fiber_2)のIr4f結合エネルギースペクトル(黒)とその構成成分分離(紫・青:Ir(0),赤・橙:Ir(III),緑・黄緑:Ir(IV))
表1 XPS分析から得られた各種Ir系触媒のIr4f結合エネルギースペクトルの構成成分分離結果
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件