【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22KU1047
利用課題名 / Title
Xe*2エキシマランプを用いためっき膜と基材の密着性向上とメカニズム解析
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
ゼータ電位,高分子材料,樹脂材料,無電解めっき,表面・界面,表面分析,高周波デバイス/ High frequency device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
有本 太郎
所属名 / Affiliation
ウシオ電機株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
竹元 史敏
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
柿田有理子,WU DAN,藤ヶ谷 剛彦
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
次世代通信規格であるBeyond 5G/6Gデバイスや自動運転を目指す車載機器などの技術開発により,プリント配線基板に求められる電気信号の高周波化が進んでいる.従来の製造方法では基板と配線界面の凹凸に起因するアンカー効果によりその密着を得ていた.しかし,高周波帯域では,電気信号が導体表面に集中して流れる表皮効果の影響が顕著に表れるため,表面粗度に依存する伝送損失が新たな課題となっている.伝送損失を低減するために,基材と回路の間には,nmレベルの平坦性が求められており,従来の粗化による凹凸を利用したアンカー効果がなくても回路と基板の密着を得られるプロセスが要求されている.
エキシマランプによる172nmの真空紫外光(Vacuum Ultra Violet:以下VUV)を用いた処理は,光化学反応を利用した表面改質方法であり,樹脂表面を粗化することなく官能基の導入が可能である.VUV処理をめっき前処理として導入することで,化学的な結合が形成され,基板と配線界面の平滑性を維持したまま回路形成が可能であるため,従来のアンカー効果に変わる次世代プリント基板製造プロセスとしての期待が高まっている.
触媒を利用した無電解めっきによる金属析出過程では,樹脂表面への触媒錯体の吸着が重要であり,これまでの評価により,めっき前処理として樹脂表面にVUV処理を行うことで,めっき膜の密着強度に有効であることが確認されている.今回,VUV処理したサンプルのゼータ電位を調査した.VUV照射量が樹脂表面近傍の電位にどのような影響を与えるかを評価し,めっき膜の密着強度との関係を明らかにしていく.
実験 / Experimental
サンプル:サンプルには厚み75 µmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムを用いた.照射量を変えて処理した未照射サンプル,300 mJ/cm2照射,900 mJ/cm2照射,1800 mJ/cm2照射サンプルの4種類を用意した.
サンプルへのVUV照射は,VUV照射装置(ウシオ電機社製)を用いて,乾燥空気をフローした雰囲気下で行った.
測定:ゼータ電位測定には,大塚電子製ELSZ-2型を使用し,平板セル(コーティング有)を用いて,室温で各3回測定を実施した.モニター粒子溶液は,モニター粒子50 μL を10 mmolのNaCl溶液15 mLで希釈して作製した.
結果と考察 / Results and Discussion
未処理のサンプルに対して,VUV処理を300 mJ/cm2照射したサンプルはゼータ電位が25 mV以上下がったことが確認できた.これはVUV処理により樹脂表面に極性の官能基である-COOHなどが導入されたためであると考えられる.一方で照射量が増えていくとゼータ電位は900 mJ/cm2では300 mJ/cm2から増加し,1800 mJ/cm2では未処理と同程度の電位まで戻る挙動を示した.VUV照射により官能基が導入されることでゼータ電位は下がるが,一定以上の照射では,樹脂の分解が進み,その影響が電位に反映され上昇していると考えられる.この一定照射量以上で電位が上昇する現象については,他の分析方法と合わせて今後解明していく.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Zeta potential of COP as a function of VUV treatment
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件