【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22KU1019
利用課題名 / Title
異種固体界面における高分子鎖の局所コンフォメーションと接着特性
利用した実施機関 / Support Institute
九州大学 / Kyushu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
赤外・可視・紫外分光/Infrared and UV and visible light spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
阿部 建樹
所属名 / Affiliation
九州大学次世代接着技術研究センター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
田中敬二
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
次世代モビリティにおいて、高分子接着剤による異種材料接合を用いたマルチマテリアル化が重要な役割を担うことが期待されている。接着特性は、接着界面における高分子の構造・物性と密接に相関があると理解されている。高分子接着剤は特定の被着体のみに対してではなく、様々な異種固体、例えば表面自由エネルギーの異なる多様な被着体に対して使用されることが考えられる。異なる被着体界面における高分子の凝集状態は官能基レベルで変化し、ひいてはマクロな接着特性に影響を及ぼすことが予想される。しかしながら、材料中の埋もれた界面における高分子の凝集状態を選択的に評価することは困難であり、その理解は不十分である。そこで、本研究課題では、親水性および疎水性の固体基板上に製膜した高分子の局所コンフォメーションを界面選択的振動分光法に基づき評価し、接着特性との相関を明らかにすることを目的とした。
実験 / Experimental
試料として、数平均分子量が300k、および、分子量分布指標が1.05のポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いた。示差走査熱量測定に基づき評価したPMMAのガラス転移温度は403 Kであった。PMMA製膜時の支持基板として、ピラニア処理により親水化およびヘキサメチルジシラザン(HMDS)の気相蒸着により疎水化処理した石英基板を用いた。石英基板およびHMDSコート石英基板上にスピンコート法に基づきPMMA膜をそれぞれ2枚ずつ調製し、膜同士を貼り合わせた後、433Kで熱処理を施すことで固体界面のみ有する試料を作製した。基板界面におけるPMMA膜の凝集状態は、表面・界面分子振動解析装置に基づき評価した。
結果と考察 / Results and Discussion
図1は、偏光組み合わせをsspおよびspsとした際の、(a)石英基板界面および(b)HMDS界面におけるPMMAの分子振動スペクトルである。図1(a)および(b)のssp偏光条件において、 2,912および2,955 cm-1にそれぞれメチレン基のCH対称伸縮振動 (CH2s)およびエステルメチル基のCH対称伸縮振動(OCH3s)に帰属されるピークが観測された。また、sps偏光条件において、いずれの試料においても、OCH3sに加えて2990 cm-1にエステルメチル基のCH逆対称伸縮振動(OCH3as)由来のピークが観測された。固体界面におけるPMMAの局所配向を議論するため、エステルメチル基の配向に着目した。官能基の配向は、異なる偏光条件における測定で得られた官能基のピーク強度比に基づき議論できる。ピークフィットに基づき得られたsspおよびsps偏光条件におけるOCH3sのピーク強度比(Issp/Isps)は、石英界面およびHMDS界面において、それぞれ15.7および7.8であった。すなわち、親疎水性の異なる固体界面において、PMMA中のエステルメチル基の配向が異なることが示唆された。PMMA膜の接着特性を今後評価することで、固体界面における局所コンフォメーションが接着特性に及ぼす効果を議論する。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1. Vibrational spectra for PMMA (a) at quartz and (b) HMDS interfaces with the ssp and sps polarization combinations.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究は、JST、未来社会創造事業、JPMJMI18A2の支援を受けたものです。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件