利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.02】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KU1013

利用課題名 / Title

熱プラズマを用いたナノ粒子合成

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

電子分光,赤外・可視・紫外分光/Infrared and UV and visible light spectroscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

山下 晃平

所属名 / Affiliation

九州大学工学研究院化学工学部門

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

田中 学,渡辺 隆行

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-501:電子状態測定システム
KU-505:紫外可視近赤外分光測定装置装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

高周波熱プラズマは高温かつ高化学活性であり,他の熱プラズマと比較してプラズマ体積が大きく滞留時間が長いという特長を有する.また,反応雰囲気を制御することができ,原料を自由に選択することができる.さらに,無電極放電であることから,電極由来の不純物の混入がない.また,プラズマ尾炎部での超急冷が可能であるため,従来では合成しにくい形態,結晶構造,化学組成のナノ粒子の合成が可能である.
Fe系合金ナノ粒子は電子機器の部品であるチョークコイルやトランスの磁心材料に利用されている.電子機器の小型化のためには,高純度な磁性体ナノ粒子の大量合成手法の確立が必須である.また,合金ナノ粒子の磁気特性の向上には,組成の制御と元素の分布の均一性が重要である.
気相法による合金ナノ粒子の組成制御において,原料の金属成分の蒸気圧および表面張力が重要であることが既往の研究より明らかとなっている.しかし,熱プラズマによる合金ナノ粒子の組成制御における理解は不十分である.本研究ではFeと他の金属成分の蒸気圧比および表面張力比に着目し,合金ナノ粒子の組成制御に与える影響を調べた.

実験 / Experimental

実験装置の概略図をFig. 1に示す.装置は大別してプラズマトーチ,反応チャンバー,回収フィルターの3つで構成される.キャリアガスとともに供給された原料粉体はプラズマトーチ内で蒸発し,反応チャンバーにおいて均一核生成,不均一凝縮および凝集を経てナノ粒子となる.生成したナノ粒子はガスによって回収部に運ばれ回収フィルターに集積し,回収される.
本実験では,Feとの蒸気圧および表面張力を比較することにより,Ti,Si,Ni,Ge,CuおよびMnを選定した.Feとの蒸気圧比はNi,Ge,Cu,Ti,Si,Mnの順で1に近く,Feとの表面張力比はNi,Ti,Cu,Mn,Si,Geの順で1に近い.原料中の金属含有量を12.1mol%とし,それぞれ実験,分析を行った.実験条件としては,周波数を4MHz,投入電力を20 kW,雰囲気圧力を大気圧とした.インナーガスとして5.0 L/min,シースガスとして60.0 L/min,キャリアガスとして3.0 L/minのArを流した.
合成した粒子は,粉末X線回折(XRD)を用いて結晶構造を同定した.また,X線光電子分光により粒子表面の化学組成を評価し,透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて粒子形態と粒径分布を評価した.エネルギー分散分光法(STEM-EDS)による半定量分析および元素マッピングを行った.

結果と考察 / Results and Discussion

Fe-Ge系における生成ナノ粒子のSTEM-EDSによる元素マッピング画像をFig. 2に示す.Fe-Ge系では,FeとGeのマッピングが重なっており,原料組成比付近の濃度で均一に分布していた.マッピング画像から合金化が確認された粒子の割合を算出した.今回検討した6つの系を比較すると,Fe-Ni,Fe-Ge系でほぼすべての粒子が合金化していた.それに対し,他の4つの系において粒子表面を添加金属種が覆うコアシェル粒子や単体金属粒子が存在し,合金化粒子の割合が減少した.
生成機構を解明するために核生成温度を算出した.核生成温度における,Feと原料金属との蒸気圧比と,上記EDS結果より得られた合金化粒子の割合の関係をFig. 3に示す.原料金属の蒸気圧比が1に近い系において多くの合金化粒子が得られることが示された.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Experimental setup of Induction Thermal Plasma.



Fig.2 Element mapping of prepared nanoparticles at Fe-Ge system.



Fig.3 Relationship between number fraction of alloy particles in synthesized particles and relative saturation vapor pressure of Me to Fe at nucleation temperature.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 山下晃平, 田中学, 渡辺隆行: 高周波熱プラズマを用いたFe系二元合金ナノ粒子の合成, プラズマ・核融合学会九州・沖縄・山口支部第25回支部大会研究発表論文集, 19pB01 (2021.12.19 オンライン)
  2. 山下晃平, 田中学, 渡辺隆行: 高周波熱プラズマを用いた二元合金ナノ粒子の合成, 化学工学会第53回秋季大会, AC216 (2022.9.15 信州大学).
  3. 山下晃平, 田中学, 渡辺隆行: 高周波熱プラズマを用いたNi系二元合金ナノ粒子の合成, プラズマ・核融合学会九州・沖縄・山口支部第26回支部大会研究発表論文集, p.91-92, 11P1-1 (2022.12.11 九州大学筑紫キャンパス).
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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