利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.04.30】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KU1001

利用課題名 / Title

金属代謝微生物を利用した貴金属・レアメタルナノ粒子の生成

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

放射光/Synchrotron radiation,ナノカーボン/ Nano carbon


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

Okibe Naoko

所属名 / Affiliation

九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門  

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

山本紗愛

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-512:透過型電子顕微鏡装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

都市鉱山廃棄物中には、天然鉱石と比較しても高品位で有価金属が含まれていることから、地上二次資源として見なすことができる。本研究では特にレアメタルの1つであるモリブデン(Mo)に着目した。Moは産出国が偏在している一方、合金や鉄鋼、触媒など、様々な用途で使用されている。本研究では、都市鉱山廃棄物試料の1つとして、Moとコバルト(Co)を高品位で含む石油精製廃触媒に着目した。最終的には、本廃触媒の化学浸出液に希薄濃度で溶存するモリブデン酸イオンをMoナノ粒子を還元析出することを目的とした。Moナノ粒子は単層カーボンナノチューブ合成に効果的な触媒機能を有す他、Pd触媒に比べ、アルカジエンからの選択的水素化に対して高い触媒効果を示すなど、その有用性が報告されている。 本研究ではまず基礎実験として、これまでの当研究室における先行研究において金属還元が確認されている超好酸性鉄還元細菌Acidocella aromatica PFBC株を用い、試薬調製したMo(VI)溶液の還元によるBio-Moナノ粒子化を試みた。

実験 / Experimental

モリブデン(VI)酸二ナトリウム二水和物( )を用いてMoの5000 ppm溶液を25 ml、Fructoseの1 M溶液を25 mlを作製しpH2.5に調整したものを、Clean Bench内でシリンジを用いてフィルターにかけた。ABS 2%溶液­­1 LをpH2.5に調整したものにNガスを3 h吹き込み、溶液中に溶けているO2を取り除いた。この溶液と同条件のABS溶液を別途500 ml調整してデュラン瓶に密封したものと、100 mlメスフラスコ、実験に用いるボトルとゴムキャップをすべてオートクレーブ滅菌した。5日間かけて前培養を行ったPFBC 1 Lを遠心分離して、細胞を回収した。回収した微生物は、ABS 2%溶液を用いて洗浄し、6.0 mlのABS 2%溶液に溶かして濃縮した。このうち2.5 mlを測り取り、オートクレーブして死滅した。すべての器具とMo溶液、Fructose溶液、細胞濃縮液を嫌気チャンバーで調整した。初期Mo濃度は50 ppmとし、Table 1に示す4つの系について、各系2本立てで実験を行った。ボトルは密封の上、室温で30 rpmで振盪した。適宜サンプリングを行い、pH、Eh(vs. SHE)、Moの濃度(ICP-OES)を計測した。実験後、細胞を回収、洗浄を行い、リン酸緩衝液とエポキシ樹脂を用いて試料を固定した。マイクロトーム(Leica-7)で超薄切片を行い、銅グリッドにのせた。この試料をTEM (ARM-200F)で観察した。

結果と考察 / Results and Discussion

MoやFructoseを混合した溶液にPFBC細胞を添加した直後、溶液の色が薄く水色に変化した。さらに時間の経過に伴い水色が濃く変化していった。しかし、溶液中のMo濃度は細胞添加直後に減少した後変化が見られなかった。つまり、化学吸着後のMo酸イオンが細胞表面で還元されたことが色の変化を生じたと考えられ、実際に還元したMoの量は未知である。色の変化およびコロイド状の沈殿物形成により、pH2.5の酸性化でMo(VI)がMo(V)に還元されたことが予想される。マイクロトーム薄片をTEM観察を行ったものの、今回までにいずれの観察においても、断面の画像が明瞭でなく、Moナノ粒子ができているかはっきりと目視できなかった。試料調製のどの段階でこのような問題が生じているのか、今後、引き続き調査していく必要がある。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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