利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.12.26】【最終更新日:2023.12.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KU0038

利用課題名 / Title

Al-Si融解初期過程のTEM内その場観察(試料作製)

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

集束イオンビーム/Focused ion beam,集束イオンビーム/Focused ion beam,資源使用量低減技術/ Technologies for reducing resource usage


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

佐々木 勝寛

所属名 / Affiliation

株式会社UACJ

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

GAO HONGYE

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-013:キセノンプラズマ集束イオンビーム加工・走査電子顕微鏡複合機


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

Al-Si合金は典型的な共晶系状態図を示す。融解初期における液相の存在形態はAl合金の融解・凝固過程を考えるうえで重要である。集束イオンビーム(FIB)加工法を用いて、Al-Si 合金の融解・凝固過程その場観察法を開発した[1]。FIBイオンビームには一般にGa が用いられている。Al-Ga, Si-Ga ともに共晶系で、融解挙動に影響を与え得る。Al, Si と反応を起こさないXe プラズマ集束イオンビーム(PFIB)加工法による試料と比較したところ、GaによるAl-Si共晶組成のAl側へのずれ、共晶温度の低下が見いだせた。

実験 / Experimental

試料は、共晶組成の4047 合金を用いた。Ga を用いたFIB(GaFIB)には、鈴鹿高専のHitachi NB-5000 をPFIB には九州大学のFEI Helios 5 Hydra DualBeam を用いた。日新EM社製FIBグリッドUF3型Mo メッシュ上に透過電子顕微鏡(TEM)用薄膜試料を作製後、表面をCH4:C2H2=1:3 プラズマCVD 膜により100nm 厚でコートした。TEM観察はHitachi H-9000NAR 中で、Gatan-652 を用いその場加熱観察した。試料を共晶点近傍まで加熱した後、2℃/minで融解が観察されるまで加熱した。融解観察後は-2℃/minで試料全体が凝固するまで冷却した。

結果と考察 / Results and Discussion

±2℃/min で加熱冷却観察すると、PFIB 試料では融解は表面から始まり、残留Si は観察されなかった。凝固(Fig.1a,b)は1/30s以内で完了した。GaFIB 試料の融解では残留Si が観察され、凝固(Fig.1c,d,e)は緩やかに進行した。融解・凝固温度はPFIB 試料に対しGaFIB 試料は約19K 低かった。Al-Ga-Si三元系の平衡状態図は、著者の知る限りにおいて報告されておらず、計算状態図も報告されていない。類似の系としてAl-Ga-Ge三元状態図の報告がある[2]。Ga-Ge系はGa-Si系と類似した共晶点がGa側に非常に偏った共晶系であり、Al-Ge系もAl-Si系と類似した共晶系であり、両者は類似した三元共晶系を形成し得ると考えられる。Al-Ga-Geでは、共晶温度はGa濃度が上昇するにつれ約3.3K/mol%で急激に低下する。また、共晶組成はAl側にシフトする。AlへのGaの固溶度はAl-Si共晶温度で2mol%で、温度低下とともに増加し最大約8mol%である。Al-Ga-Geと同様な特性がAl-Ga-Si系でもあれば、融液中への残留Siや融解温度の低下が生じる可能性がある。GaFIB 試料とPFIB 試料の融解・凝固挙動の違いはAl 中に固溶したGa による共晶点の低下や、共晶組成の変化よると考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Quick (a, b) and gradual (c, d, e) solidification of Al-Si in PFIB and GaFIB sample, respectively.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] K. Sasaki et al., Proceedings of 2022 Autumn Annual Meeting of JIMM, (2022) p363.
[2] I. Ansara, J.P. Bros and M. Gambio, CALPHAD Vo1.3, No.3, (1979) pp.225-233. 


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 佐々木勝寛、山吉知樹、南部智憲、高紅叶、波多聡、”FIB 加工Al-Si 合金試料の融解・凝固TEM 内その場観察におけるGa の影響"、日本顕微鏡学会 第79回学術講演会、2023年6月26日-28日、PR0106
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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