利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KU0030

利用課題名 / Title

クリープ変形中の転位運動の観察

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)その他/Others

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,集束イオンビーム/Focused ion beam


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

高木 秀有

所属名 / Affiliation

日本大学工学部 総合教育物理学教室

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

森川龍哉,田中 將己

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-001:電子分光型超高圧分析電子顕微鏡
KU-005:デュアルビームFIB-SEM加工装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本研究の目的は,結晶粒径が数μmの強加工が施されたAl-Mg合金において,転位が主たる原因で発現する室温でのクリープ挙動に関する転位運動,その転位の発生・増殖場所,また消滅場所の解明することである.このために,種々の組織観察ツールを用いて粒内・粒界近傍の転位運動のその場観察,また歪みの時間変化を調査する.

実験 / Experimental

透過電子顕微鏡(TEM)観察は,超高圧電子顕微鏡(JEM-1300NEF)を用いて実施した.TEM観察用の試片は,上述の試験片の厚さを0.1μm以下にした後,収束イオンビーム(FIB,FEL社製Quanta3D 200i)によって薄膜化された.荷重緩和時のその場観察は,超高圧電子顕微鏡に付属された引張ホルダー(Gatan社製)を用いて,室温で行われた.なお,通常の引張試験機において,上記と同様な条件下で荷重緩和試験が実施されている.

結果と考察 / Results and Discussion

通常の引張試験機を用いた荷重緩和試験によると,ARB加工された微細結晶粒材では顕著な荷重緩和挙動が発現した.この荷重緩和の発現はクリープ的な塑性変形が生じたことによる.
この荷重緩和挙動,すなわちクリープ的な塑性変形について,TEM内でのその場観察が実施された.Fig. 1は,TEM内で室温で試片を一定速度で引張り,試片に引張荷重を加えたときの荷重の時間変化を示す.ここで,荷重負荷直後において,3 N付近の段差は試験装置の遊びに由来すると考えられる.また,7 N付近の段差は動画撮影の準備の際,一定速度で引っ張るためのボタンから手を離したのが原因である.図において,荷重が12 Nに達したところで,荷重緩和を行った.そして,荷重緩和直後,5400 s後,10800 s後に,それぞれ同一視野のTEM観察を実施した.そのTEM写真は,Fig. 2に示される.線状欠陥の密度と微細結晶粒の形状は,10800 s経過しても,大きな変化は見られなかった.但し,部分的に微細結晶粒のコントラストが変化し,今まで見えてなかったものが現れたり,またその逆のケースが見受けられた.これは,結晶方位がわずかに変わったことを意味するが,TEM観察時の観察誤差の可能性もある.もし,その結晶方位の変化が真であるとすると,例えば,粒界すべりなどによる微細結晶粒の回転が起こっている可能性もある.今後は,結晶回転が生じる可能性を意識し,TEMによるその場観察を実施する予定である.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


TEM内における引張荷重の緩和挙動



各緩和時間におけるTEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る