利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.11】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT1438

利用課題名 / Title

積層ナノアンテナシールの作製

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

ナノアンテナ,蛍光指向性,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,電子線リソグラフィ/ EB lithography,量子コンピューター/ Quantum computer,フォトニクス/ Photonics,3D積層技術/ 3D lamination technology


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

村井 俊介

所属名 / Affiliation

京都大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

岸村眞治,河野恵子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-107:厚膜フォトレジスト用スピンコーティング装置
KT-115:大面積超高速電子ビーム描画装置
KT-203:電子線蒸着装置
KT-120:回路&レイアウト設計ツール
KT-257:ナノインプリントシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ナノアンテナはサブ波長サイズの金属ナノ粒子を周期的に配列させた構造体であり、ナノアンテナに光が照射されると、局在型表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance : LSPR)と面内の光回折の同時励起により表面格子共鳴(Surface Lattice Resonance : SLR)が誘起される。この共鳴モードによってアンテナ近傍に発現する増強電場は、周囲の光学応答を増強させる働きがあるため、微小光源や高感度センサーへの応用が期待されている。この構造を樹脂に埋入したナノアンテナシールは、ナノアンテナを直接作製できない材料表面に対しても容易に脱着が可能であり、一枚のシールを何回でも繰り返し使えるといった利点がある。さらに、ナノ粒子が高分子材料に埋められているため、ナノアンテナシールを2枚重ねたり、基板上のナノアンテナに重ねて貼ったりすることによって、ナノスケールで三次元集積した周期的な構造を構築できる。本研究では、一般の面内双極子共鳴より更に高い品質係数を持つ四重極子共鳴を利用し、吸収増幅層として用いられるTiO2ナノアンテナ上にシールを積層することによって、指向性発光特性の向上を試みた。

実験 / Experimental

シリカガラス基板に転写犠牲層であるポリビニルピロリドン(PVP)膜をスピンコートし、電子線蒸着法(KT-203:電子線蒸着装置)により膜厚15 nmのAlと150 nmのAgを製膜した。二種類の金属薄膜の界面を強固なものとするために、低温で熱処理を行った。続いて、熱処理した試料に対して、ナノインプリント法(KT-257:ナノインプリントシステム)によりパターンを形成させ、Ar+ドライエッチングによりナノアンテナを作製した。その後、ナノアンテナ試料にポリジメチルシロキサン(PDMS)を流し込んで固化した後、超純水でPVP膜を溶解させ、ナノアンテナをPDMSに転写した。転写前後のナノアンテナ試料の構造観察は走査電子顕微鏡で、ナノアンテナシールの光応答および発光測定は分光器が搭載された角度分解能を有する回転ステージで評価した。また、共鳴モードの帰属のために、COMSOL Multiphysics 6.0で電磁場解析を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig.1は、(左)TiO2ナノアンテナ単体、(中央)Agナノアンテナシール単体、(右)Ag/TiO2積層ナノアンテナのTE偏光における入射角度依存の消光スペクトルを示す。積層前後では、下層のTiO2ナノアンテナの共鳴特性の変化が見られなかったことに対し、上層のAgナノアンテナシールの四重極子共鳴特性は顕著に長波長側にシフトし、面内双極子の共鳴波長領域内に入り込むことが確認された。また、長波長側で励起された面内双極子共鳴は、積層前後にわたって、スペクトル上の変化が見られなかった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1. 消光スペクトルの入射角度依存性(左)TiO2ナノアンテナ単体、(中央)Agナノアンテナシール単体、(右)Ag/TiO2積層ナノアンテナ


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 第84回応用物理学会・秋季学術講演会(2023年9月19-23日@熊本城ホールほか)[21p-A309-12]面外四重極子共鳴を利用したAg/TiO2積層ナノアンテナの光学特性と発光制御 〇羅 天昜、村井 俊介、田中 勝久
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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