利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.11】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT1261

利用課題名 / Title

銀ナノアンテナシールの作製と光学特性

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

ナノインプリント,発光制御,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,フォトニクス/ Photonics,3D積層技術/ 3D lamination technology


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

村井 俊介

所属名 / Affiliation

京都大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

井上良幸,赤松孝義

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-111:ウエハスピン洗浄装置
KT-234:深堀りドライエッチング装置(1)
KT-257:ナノインプリントシステム
KT-115:大面積超高速電子ビーム描画装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ナノアンテナに光が照射されると、個々の金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴(Localized surface plasmon resonance, LSPR)と周期配列に起因する面内回折との同時励起により、表面格子共鳴(Surface lattice resonance, SLR)が励起される。SLRを利用することで、ナノ粒子の近傍に更なる増強電場が発現したり、蛍光体と組み合わせることで、発光を増強したり指向性を付与することが可能となる。利用者らは2021年にナノインプリントリソグラフィー法を使い、Alナノアンテナシールの開発に成功した。シールを貼ることで、ナノアンテナシールのSLRと様々な光学材料との組み合わせが可能となる。ところが、Alは可視域においてLSPRによる散乱特性がそれほど強くないため、可視域での効果が制限されている。そこで本研究では、可視域できわめて優れた散乱特性を持つAgを用い、Agナノアンテナシール開発を試みた

実験 / Experimental

シリカガラス基板に転写犠牲層であるポリビニルピロリドン(PVP)膜をスピンコートし、電子線蒸着法により膜厚15 nmのAlと150 nmのAgを製膜した。二種類の金属薄膜の界面を強固なものとするために、低温で熱処理を行った。続いて、熱処理した試料に対して、KT-257:ナノインプリントシステムを用いたナノインプリント法によりパターンを形成させ、Ar+ドライエッチングによりナノアンテナを作製した。その後、ナノアンテナ試料にポリジメチルシロキサン(PDMS)を流し込んで固化した後、超純水でPVP膜を溶解させ、ナノアンテナをPDMSに転写した。
転写前後のナノアンテナ試料の構造観察は走査電子顕微鏡で、ナノアンテナシールの光応答および発光測定は分光器が搭載された角度分解能を有する回転ステージで評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

AgとPVPの接着は弱く、ナノインプリントの際に剥がれてしまう。ここではPVPとの界面にAlを挟むことでこの困難を克服し、Agナノアンテナシールの作製に成功した。消光スペクトルから、アレイの周期に対応したSLRが励起されることがわかり、シミュレーションの解析結果から、鋭い消光ピークの起源は面外四極子共鳴由来のSLRであることが明らかとなった。また、シールを色素含有の薄膜に貼付し、発光への効果を調べたところLRに沿った強い発光増強が観察された。
また、Agシールと同様なナノ構造を持つAlシールを作製し、両者の発光増強効果を比較した(図1)。有機色素の発光波長範囲では、Agシールは全体的に発光増強がAlシールより劣っているが、それぞれのSLRの共鳴波長領域では、Agシールの色素への増強倍率・指向性・波長選択性がAlシールよりも顕著に上昇していることが確認された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1: (a) Ag および (b) Al ナノアンテナシールの発光増強度の放射角度依存性 。マゼンタ領域は、有機色素の PL 波長 (λPL= 550 ~ 700 nm) の波長範囲にわたって積分された 発光増強を示す。赤い点は、SLR ピーク領域にわたる積分された 発光増強を示す。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. TienYang Lo, Silver Nanoantenna Stickers for Photoluminescence Control, ACS Applied Optical Materials, 1, 870-877(2023).
    DOI: https://doi.org/10.1021/acsaom.3c00024
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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