利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.11】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KT1195

利用課題名 / Title

室温励起子ポラリトン由来のレーザ発振

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

ボーズアインシュタイン凝縮,励起子ポラリトン,強結合,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,フォトニクス/ Photonics


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

村井 俊介

所属名 / Affiliation

京都大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

海津利行,諫早伸明,赤松孝義

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-115:大面積超高速電子ビーム描画装置
KT-107:厚膜フォトレジスト用スピンコーティング装置
KT-203:電子線蒸着装置
KT-234:深堀りドライエッチング装置(1)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

励起子 - ポラリトン (EP) のボース アインシュタイン凝縮 (BEC)は、過去数十年にわたって広く研究されてきました。EP は、光共振器内の光子と半導体内の励起子の強い結合から生じるボソン準粒子です。EP は有効質量が低いため、高温でも、EP 結合エネルギーが十分に大きい場合には室温でも凝縮を形成する可能性があります。凝縮体内の EP は同じ量子状態を占めます。したがって、ポラリトンレーザとして知られるコヒーレント放出が生成される可能性があります。ポラリトンレーザは反転分布を必要としないため、従来のレーザよりもはるかに低いしきい値でのレーザ発振が可能になる可能性があります。この研究では、シリコン (Si) メタ表面によって形成された全誘電体キャビティ内の損失を大幅に削減し、EP の寿命を延ばすことにより、低しきい値の BECを実証します。

実験 / Experimental

LPCVDにより石英基板上に堆積させた多結晶Siナノ薄膜にレジスト塗布し、電子線リソグラフィ(KT-115:大面積超高速電子ビーム描画装置)とDRIEプロセス(KT-234:深堀りドライエッチング装置(1))によりナノ粒子(高さh = 90 nm、直径d = 90 nm、格子定数P = 420 nm)の正方形アレイを作製した。
EP の形成と凝縮を調べるために、高濃度の色素を含有するポリマーをナノ粒子アレイに塗布し、厚さ200 nmの層を形成した。そこに繰り返し周波数 1 kHz の 400 nm Ti:Sapレーザで励起し、発光スペクトルを観察しました。

結果と考察 / Results and Discussion

表面格子共鳴から生じる Si ナノ粒子のメタ表面における BIC からの室温での励起子 - ポラリトン凝縮を実証しました。 Si には放射損失がなく、材料損失が低いため、ポラリトン モードの品質係数が非常に高くなります。 得られた5 μJ cm –2という閾値は、有機モノマーを用いたBECについて報告されている最も低い閾値であり、無機系の低温で測定された値に匹敵します。これらの結果は、低い閾値を必要とする室温電気励起有機ポラリトンレーザの実現に向けた重要な一歩です。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1: 発光スペクトルの面内波数依存性 (a) しきい値未満、(b) しきい値以上。閾値以上でBIC近傍からレーザ発振している。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Anton Matthijs Berghuis, Room Temperature Exciton–Polariton Condensation in Silicon Metasurfaces Emerging from Bound States in the Continuum, Nano Letters, 23, 5603-5609(2023).
    DOI: https://doi.org/10.1021/acs.nanolett.3c01102
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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