利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.31】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23MS5004

利用課題名 / Title

金属をスパッタコートしたAFMカンチレバ探針の評価

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

AFM, 探針増強, カンチレバ, 近接場光学, TiN, スパッタ, XPS


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中本 圭一

所属名 / Affiliation

分子科学研究所 機器センター

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

湊 丈俊,伊木 志奈子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-213:X線光電子分光


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

探針増強効果を用いた赤外分光法では、光の回折限界を超えて試料表面の分光をnmオーダーの分解能で観察できる手法である。探針増強効果を高めるために、AFMカンチレバ探針に金属コートをして使用されている。カンチレバの探針にAuをスパッタで200nmコートすることにより、大きな探針増強効果を得られてきた。しかしながら、Auは試料との接触により簡単に膜がはがれる問題があった。このためより強度の強いTiNを探針にコートすることを検討した。反応性スパッタを用いて作成したTiN膜が利用できるかどうかを、成膜条件、TiN純度について実験により検証を行った。

実験 / Experimental

スパッタ成膜条件 先行研究1)を参照し、下記の条件での成膜を行った。成膜ガス: Ar 10sccm, N2 4sccm成膜時ガス圧: 1Pa成膜RF電力: 200W触針式膜厚計2)を用いて膜厚の測定を行い、スパッタレート8.54nm/secの結果が得られた。 成膜前の真空度がTiNの純度に大きく寄与することがわかっているため1)、成膜ガス導入前の真空度が2.8×10-4Paと4.7×10-5Paの条件下で膜厚100nmの成膜をスライドガラス上に行い、TiNの割合を調べるためXPS(MS-213)での測定を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

2.8×10-4Pa時のXPS測定結果は、Fig.1およびTable1に示すように、ピーク面積でTiNのピークの面積比率は17%であった。4.7×10-5Pa時のXPS測定結果は、Fig.2およびTable2に示すように、TiNのピークの面積比率は30%であった。XPSによる分析の結果、4.7×10-5PaのBase pressureでスパッタを行っても、Tiの反応性の良さによりTiNの割合は、30%程度にとどまることが分かった。成膜に利用したスパッタ装置3)では、10-5Pa以下の真空度を得ることができないため、これ以上の収率を上げることは難しいことが分かった。 反応性スパッタを行うのではなく、TiNターゲットを用いたスパッタを今後検討する。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 The XPS spectrum at 2.8×10-4Pa base pressure. (a) Ti2p, (b)N1s, (c) O1s, (d)C1s and each analysis results.



Table 1 Analytical results of each comportment.



Fig. 2 The XPS spectrum at 4.7×10-5Pa base pressure. (a) Ti2p, (b)N1s, (c) O1s, (d)C1s and each analysis results.



Table 2 Analytical results of each comportment.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参照文献
1)    中野武雄、星堅一朗、馬場茂 窒化チタンの反応性スパッタ製膜における真空環境の影響、J.Vac.Soc.Jpn、Vol.50, No. 4, 2006
2)    分子研ARIM未登録
3)    分子研ARIM未登録


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る