【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.31】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23MS5001
利用課題名 / Title
溶液光化学反応の励起ダイナミクスの研究
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
溶液光化学反応, タンパク質
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
長坂 将成
所属名 / Affiliation
分子科学研究所 光分子科学研究領域(小杉G)
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
上田 正
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では、放射光から発生する軟X線とレーザー光を同期した時間分解軟X線吸収分光測定により、溶液中の金属錯体の光励起ダイナミクスや、ピレン溶液のエキシマー発光のダイナミクスを調べることを目的とする。また、軟X線分光法の生物学利用を目指して、タンパク質の軟X線吸収分光スペクトルの取得を目指している。これにより、最終的に天然の光合成反応の時間分解軟X線分光測定の実現を目指している。ARIM利用により分子研機器センターの所有装置を用いて、可視紫外吸収分光測定を行うことで、光化学反応やエキシマー発光が起こる励起波長を調べる。また、タンパク質の試料評価を可視紫外吸収分光測定から行う。これにより、軟X線分光測定のための基礎データを取得することを目的とする。
実験 / Experimental
分子研機器センターの可視紫外吸収分光装置を用いて、金属錯体溶液やタンパク質の可視紫外分光スペクトルの測定を行っている。本年度は、ミオグロビンのヘム鉄に酸素がある状態とない状態の可視紫外分光スペクトルを測定した。これにより、ミオグロビンのヘム鉄の軟X線吸収分光測定のための試料評価を行った。そして、窒素K吸収端の軟X線吸収分光測定により、酸素の配位に伴うミオグロビンのヘム鉄の配位子の電子状態変化を調べた。
結果と考察 / Results and Discussion
本年度は、ミオグロビンのヘム鉄の軟X線吸収分光測定の実現を目指した。まず、ミオグロビンのヘム鉄に酸素のない状態とある状態の試料調製を行った。そして、可視紫外吸収分光測定を行うことで、ヘム鉄に酸素のない状態とある状態がそれぞれ調製できていることを確かめた。軟X線吸収分光測定では、窒素K吸収端の測定を行い、ミオグロビンのヘム鉄の配位子のピークを観測した。これにより、ヘム鉄の中心に酸素がある状態とない状態で、配位子のピークが異なるエネルギー位置を持つことを明らかにした。現在、内殻励起計算を行うことで、それぞれのヘム鉄の電子状態の違いについて議論を行っている。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
分光測定を支援して頂いた分子研機器センターの上田正様に感謝します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 長坂将成, “軟X線吸収分光法によるバイオ研究の現状と展望” UVSORシンポジウム2023 特別企画講演「バイオ系における光科学の展開」, 令和5年12月2日
- M. Nagasaka, “Time-Resolved Soft X-ray Absorption Spectroscopy for Observing Photochemical Reactions in Solutions”, Conference on Laser and Synchrotron Radiation Combination Experiment 2023 (LSC 2023), OPTICS & PHOTONICS International Congress 2023, 20/April/2023.
- M. Nagasaka, “Operando Soft X-ray Absorption Spectroscopy for Observing Chemical Processes in Solutions”, UVSOR-III + MAX IV International Workshop: Frontier of Soft X-ray Spectroscopy for Chemical Processes in Solutions, 3/October/2023.
- M. Nagasaka, “Chemical Processes in Solutions Probed by Soft X-ray Absorption Spectroscopy”, International Symposium on X-ray Spectroscopies of Synchrotron Radiation, 25/March/2024.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件