【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23MS1081
利用課題名 / Title
分子の不斉識別を目指したキラルな大環状ホストの開発
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
分子包接, 大環状分子, 蛍光発光
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
内藤 順也
所属名 / Affiliation
福井大学学術研究院工学系部門
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
上田 正,長尾春代
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
MS-222:熱分析(等温滴定型カロリメーター/溶液)
MS-229:絶対PL量子収率測定装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
医薬品や天然物のキラリティは生理活性に大きな影響を与えるため、その識別は重要である。現在はキラル識別に旋光計やキラル HPLC などの高価な装置を用いており、より簡便な識別方法の開発が課題となっている。本研究ではこの課題を解決するために、溶液中で検出対象と混合することで簡便にキラリティを識別できる分子の開発を目的とした。具体的には、蛍光性の分子にキラルな分子認識部位を組み込んだ大環状ホストを設計した。今回、蛍光性の分子の溶液中における発光特性を絶対 PL 量子収率測定装置により評価した。加えて、分子認識部位のゲスト包接能を等温滴定型カロリメータにより定量した。
実験 / Experimental
蛍光性を有する分子の溶液状態での発光特性を評価するために、種々の溶媒中における発光強度を HAMAMATSU の Quantaurus-QY を用いて測定した。また、分子包接能を有する大環状ホストの溶液状態でのゲスト認識能を評価するために、種々のゲストに対する結合定数を Malvern の MicroCal iTC200 を用いて測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
蛍光性の分子について、絶対 PL 量子収率測定装置を用いて種々の溶媒中における発光強度を測定したところ、シクロヘキサンやトルエン、クロロホルム中では中程度の発光が観測されたものの、アセトンおよび DMSO 中では発光強度が大きく低下した。この結果より、本分子は低極性溶媒中では発光するものの、高極性溶媒中では発光強度が低下することが示された。また、分子認識能を有する種々のホストについて、等温滴定型カロリメータを用いてメタノール希薄溶液状態での種々のアルカリ金属イオンに対する結合定数を測定したところ、セシウムおよびカリウムイオンを添加した際に分子包接に伴う強い発熱が観測されたものの、ナトリウムおよびリチウムイオンを添加した際には発熱強度が大きく低下した。この結果より、本分子群はカリウムイオン以上の大きさのゲストの包接に有利であることが示された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本課題を遂行するにあたり絶対 PL 量子収率測定装置の利用でご支援下さいました分子科学研究所機器センターの上田正様に感謝いたします。また、等温滴定型カロリメータの利用でご支援下さいました同センターの長尾春代様に感謝いたします。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Masaya Naito, Solvent-dependent isomerization of a chromogenic trefoil-shaped salicylaldehyde azine derivative, Results in Chemistry, 6, 101164(2023).
DOI: 10.1016/j.rechem.2023.101164
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 八島貴史, 中島滉太, 内藤順也, 徳永雄次, “交差型クリプタンドの合成と不斉特性に関する研究” 2023 年度有機合成化学北陸セミナー, 令和 5 年 10 月 20 日.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件