利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.24】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23MS1076

利用課題名 / Title

電子ドープされた有機半導体の構造と磁性

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

超電導,有機半導体,X線回折/ X-ray diffraction,超伝導/ Superconductivity


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

平郡 諭

所属名 / Affiliation

大阪工業大学工学部

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

岡阪 友希,橋本 泰利,菰池 光星,古川 蒼馬

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

藤原 基靖,宮島 瑞樹,伊木 志成子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-210:オペランド多目的X線回析
MS-218:SQUID(MPMS-7)
MS-219:SQUID(MPMS-XL7)
MS-220:SQUID (MPMS3 DC)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 近年1,3,5-triphenylbenzeneという有機分子にサマリウム金属をドープした化合物において超伝導が報告された[Phys. Rev. B 101, 214506 (2020).]。超伝導臨界温度TCは4.3 Kと高くはないが再現率が50%を超えると報告されており、仮に超伝導遮蔽体積分率が低い場合でも超伝導を観測し、超伝導相の同定につなげることが可能であると考えられる。単純な有機分子がどのようにして金属状態になるかを明らかにすることを目的とする。

実験 / Experimental

 試料は幣研究室にて合成・調整し、X線キャピラリあるいは測定用石英セルに封入した状態で持参した。試料の結晶構造の同定を目的にMS-210:多目的X線回析装置Panalytical社 Empyreanを利用した。試料の磁化率の温度依存性を明らかにするためにSQUID型磁化測定装置MPMS(MS-218,219,220)を使用した。

結果と考察 / Results and Discussion

 試料は嫌気性を示すため申請者の実験室にてキャピラリに封入した状態で持参しそのままX線回折実験を行った。多目的X線回析装置Panalytical Empyreanを集光ビームに設定いただき、研究室の卓上X線回折装置では測定できない精度でX線回折プロファイルが得られた。報告例にもとづいてサマリウム金属をアルゴングローブボックス内で酸化膜を取り除き、粉末状にした。モル比で1,3,5-triphenylbenzeneとサマリウム金属粉末が1: 3となるように秤量し、メノウのすり鉢を用いて混合した。混合物をペレット状に加圧成形し石英ガラス管中に真空封入し、電気炉を用いて500 K、154時間熱処理した。数十試料を合成したが化合物は生成されず、熱処理後のX線回折では1,3,5-triphenylbenzeneのX線回折プロファイルのみが得られた。熱処理後の試料について磁気特性を測定したがこれまでの実験において2 K以上で超伝導を観測していない。超伝導を示す試料として報告例に示されているX線回折プロファイルは1,3,5-triphenylbenzeneのX線回折プロファイルと一致していることがわかり今後は慎重な検証が求められる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

 このたびご支援いただいた藤原基靖先生, 宮島瑞樹先生, 伊木志成子先生には訪所前から実験条件に関して詳細な打ち合わせを通して丁寧にご指導いただいた。訪所後すぐに実験を開始できトラブルなく実験を遂行できたのは先生方のご支援なくしてはあり得ませんでした。心よりお礼申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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