【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23MS1071
利用課題名 / Title
糖質分解酵素及びプラスチック分解酵素の活性及び基質親和性計測
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
バイオマス, プラスチック, リサイクル,質量分析/ Mass spectrometry,質量分析/ Mass spectrometry,資源代替技術/ Resource alternative technology,資源循環技術/ Resource circulation technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
中村 彰彦
所属名 / Affiliation
分子科学研究所特別研究部門(静岡大学)
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
MS-222:熱分析(等温滴定型カロリメーター/溶液)
MS-224:MALDI-TOF質量分析
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
バイオマス及びプラスチックの酵素リサイクルに向けて、キチン加水分解酵素、ヒアルロン酸分解酵素、及びPET分解酵素変異体の生成物の解析と、生成物との結合親和性の解析を行った。キチン加水分解酵素は生成物であるジアセチルキトビオースとの結合が、約1対1結合のKd 1.33 mMと1対3.6結合のKd 750 mMの2種あることが判明した。またバクテリア由来ヒアルロン酸分解酵素の主生成物が2糖単位であることが質量解析から明らかとなった。PET分解酵素変異体が生産する未知生成物ピークの質量は検出できなかった。
実験 / Experimental
MicroCal PEAQ-ITCのセルに20 mM リン酸ナトリウム緩衝液pH6.0に溶解した200 μLの200 μMセラチア菌由来キチン加水分解酵素A (SmChiA)をいれ、25℃で100 mMのジアセチルキトビオース溶液を2 μLずつ18回滴下した。陰性対照として酵素なしの条件での熱量変化も計測し、発生した熱量を差し引いて結合による熱量変化を算出した。得られた熱量変化をPEAQ-ITC Analysis SoftwareのTwo set of Sites modelでフィットし各種パラメータを得た。またバクテリア由来ヒアルロン酸リアーぜ(SpPL8)とヒアルロン酸を混合し、主生成物のピーク溶液をHPLCで分取した。溶液と100 mg/mLのDHBをターゲットプレート上で混合しMALDI-TOF型質量分析装置(Bruker Daltonics・microflex LRF)を用いてポジティブモードで質量を解析した。 PET分解酵素変異体のポリブチレンテレフタレート分解物をHPLCで解析し検出された未知ピークを分取し、上記と同様の方法で解析した。
結果と考察 / Results and Discussion
天然型SmChiAとジアセチルキトビオースの結合は、結合比0.9のKd 1.33 mM ΔG= -3.93 kcal/molの相対的に強い結合と結合比3.6のKd 730 mM ΔG= -0.171 kcal/molの弱い結合があることがわかった。結晶構造解析では生成物結合サイトに1つのキトビオースと、基質結合サイトの芳香族残基上に複数の弱い電子密度が観測されたことから、相対的に強い結合は生成物結合サイトへの結合であり、弱い結合は芳香族残基への弱い相互作用であると考えられた。また得られたKdは生化学計測でのKiよりも10倍大きい。キチン分子鎖分解中は気質結合サイトにキチン分子鎖が結合しているため、その相互作用によりキトビオースの結合が強くなるものと推測された。 ヒアルロン酸リアーゼ生成物の質量を解析した結果、m/z 385.5のピークが得られ、分子内で1分子脱水した不飽和グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンに相当することが明らかとなった。PET分解酵素変異体の未知生成物についてはブランクに対して有意なピークを得ることができなかった。解析にはサンプル濃度の向上及びイオンか条件の検討が必要である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Yoshiko Tanaka, Product inhibition slow down the moving velocity of processive chitinase and sliding-intermediate state blocks re-binding of product, Archives of Biochemistry and Biophysics, 752, 109854(2024).
DOI: 10.1016/j.abb.2023.109854
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件