利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.24】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23MS1062

利用課題名 / Title

金属錯体の光励起状態の時間分解ESRによる電子・スピン構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

時間分解ESR, Xバンド、Qバンド, 光励起状態, 金属錯体, 異方性,太陽電池/ Solar cell


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

浅野 素子

所属名 / Affiliation

群馬大学大学院理工学府

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

咲間 隆也,鈴木 智大,高瀬 朋華

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

藤原 基靖,上田 正,浅田 瑞枝,伊木 志成子,宮崎 瑞樹

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-214:電子スピン共鳴(E680)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 発光性金属錯体は近年、発光素子、アップコンバージョンの素子、さらには人工光合成の光増感剤や光触媒として、大変注目を集めている。これらの光機能性金属錯体の光機能の多くは励起三重項からのイベントに始まる。よってその励起三重項の構造を明らかにすることは大変重要である。金属錯体の励起三重項状態の時間分解ESRスペクトルは有機化合物と異なって、金属イオンの影響で、g値および三重項初期分布に特徴的な異方性が現れる。この異方性の解明には、Xバンド測定と合わせて周波数の異なるQバンド測定が有効である。本年度はこれまで一定しなかったQバンド時間分解ESR測定において位相合わせほかの測定条件の最適化の検討を行い、数種の化合物に適用した。

実験 / Experimental

 分子研所有のESRスペクトロメーターE680とナノ秒OPOレーザーSpectraPhysics社製PrimoにてQバンドマイクロ波の条件をCWとして、レーザーと同期させて時間分解ESR測定を行った。まずは室温で最適条件を求めた。さらにHeクライオスタットによる温度制御にて低温の実験をおこなった。これまでXバンドESRスペクトルのみでは励起構造の解析が難しかった亜鉛ポルフィリンーRe錯体連結二元系についてQバンド時間分解ESR測定を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

 マイクロ波Qバンド(CW)時間分解測定においては、サンプルと共振器のカップリングをとる際に位相合わせが特に重要で、本装置においては位相状況に特徴があることが判明した。この状況は藤原技術職員の多大なるご助力があり、判明した。以前に比べ、かなり安定して信号をとれるようになった。
 比較的強い信号が得られる亜鉛ポルフィリン錯体連結系において、Qバンド測定を行い、Xバンド測定だけではわからないg値の異方性があることが判明した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は一部、科学研究費補助金基盤C(20K05679, 23K04905)によって支援された。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 鈴木智大,藤田俊介,竹田浩之,浅野素子,鈴木勇斗,倉持悠輔,佐竹彰治,“亜鉛(II)ポルフィリン-レニウム(I)連結錯体の系間交差の連結位置依存性と時間分解ESR”,第73回、錯体化学討論会,令和5年9月 21~23日(発表日 9月21日)
  2. 浅野 素子, 鈴木 智大, 藤田 峻介, 竹田 浩之, 鈴木 勇斗, 倉持 悠輔, 佐竹 彰治, “亜鉛(II)ポルフィリンーレニウム(I)錯体二元系の室温近赤外発光と時間分解ESR”, 2023年光化学討論会,令和5年9月 5~7日(発表日 9月7日)
  3. 浅野 素子, 鈴木 智大, 藤田 峻介, 竹田 浩之, 鈴木 勇斗, 倉持 悠輔, 佐竹 彰治, レニウム(I)錯体を連結した亜鉛(II)ポルフィリンの時間分解ESRスペクトル, 第62回電子スピンサイエンス学会年会,令和5年11月 2~4日(発表日11月2日)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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