【公開日：2024.07.25】【最終更新日：2024.06.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23MS1045
利用課題名 / Title
キラルな金属錯体液晶の内部構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis（副 / Sub）計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed（副 / Sub）-
キーワード / Keywords
キラル，錯体，液晶,エレクトロデバイス/ Electronic device,X線回折/ X-ray diffraction
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
吉田 純
所属名 / Affiliation
日本大学文理学部
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
秋葉 志帆,矢部 菜月,加藤 蘭
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
（主 / Main）機器利用/Equipment Utilization（副 / Sub）-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
カラムナー(Col)液晶は，平面的な骨格をもつ分子において発現することの多い液晶相であり，分子が積層したカラムが二次元的に集まった構造をもつことから，半導体材料などとして注目を集めている。一方で，Col液晶の相挙動を精密に制御することはいまだ容易ではない。特に，Col液晶がキラル分子から構成される場合には，その内部構造に関する知見が不十分である。一方，報告者らは，分子の中心にキラル部位(DLキラリティー)をもつ八面体型金属錯体（以下M-Cn: nはアルキル鎖長を示す）を骨格とする液晶性物質を開発してきた。本研究では，M-Cnを対象として，液晶内部の構造解析を目指した。
実験 / Experimental
M-Cnの液晶相を決定するべく，1次元の粉末X線回折測定を行った。試料は，固体サンプルをキャピラリーに封入した。一部，粘性が高かったサンプルについては，液体相まで加熱したサンプルを，先を切ったキャピラリー（0.3 mm）に封入することで作成した。測定は機器センターの多目的X線回折装置Empyreanを用い，室温から200℃程度までの温度範囲で行った。測定条件は表１に示す。
結果と考察 / Results and Discussion
はじめに，Ru-C9のラセミ体について測定を行った。5℃/minで60℃まで昇温した後，5分間保持し，測定条件1にて測定を行った。この場合，反射が弱く低角に数本のピークのみが観測されたが，予期したCol相ではなく，キュービック相（以下Cub相）として帰属できた。一方で，偏光顕微鏡観察では，室温付近においてCol相と思われるテクスチャーが観察されたため，室温付近での測定も行った。室温から5℃/minで昇温し、30℃で5分間保持した後，測定条件1にて測定を行った。この際，Cub相とは帰属できない複数のピークが観測された。レクタンギュラーカラムナー（Colr）相として，最も低角な強度の大きい二つの反射を(20)面, (11)面，あるいは(11)面, (20)面由来の反射として指数付けを行ったところ、どちらの解析でも定義できない複数のピークが観察された。この理由としてはColr相と結晶相などの複数の相が混合していると考えられる。さらに，Ru-C8のラセミ体において発現が確認されているColr相の反射と比較すると、一部似た回折パターンが得られた。以上からRu-C9は室温付近では，準安定な相としてColr相を発現し，加熱するにつれてCub相へと転移したと結論付けられた。 その後，Ir-C8についても同様の条件で測定を行ったところ，Cub相の発現が確認された。いずれもミセルキュービック相である場合，単位格子長と分子サイズから，１つのミセルは8分子で構成されると見積もられた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
表１．測定条件
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
謝辞藤原基靖 様には，装置のセッティングおよび条件検討において，大変有意義なご助言をいただきました。この場をお借りして，感謝申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件