利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.03】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23MS1006

利用課題名 / Title

Sn/Mn多層膜の電気伝導特性, Cr-ZnOナノロッドの磁気的性質の解明

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

磁性薄膜, 超伝導


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

嶋 睦宏

所属名 / Affiliation

岐阜大学工学部

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

熊澤宏紀

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

横山利彦

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-219:SQUID(MPMS-XL7)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

Sn/M/ Sn (M=Ni, Co)多層膜におけるSn層の超伝導特性およびM層の磁気特性の相関を解明する目的で、SQUID-XL7を用いて低温での電気抵抗測定および磁化測定を実施した。

実験 / Experimental

分子科学研究所でSQUID-XL7を用いてSn/M/Sn多層膜の電気抵抗および磁化を測定した。測定温度は1.8~300 K、印加磁場は0~2 T、抵抗測定時の入力電流は1.4x10-5~5.0 x10-3 Aであった。岐阜大学ではXRDおよびSEMおよびSPMを用いて試料の結晶構造および膜の微細構造を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

XRD測定の結果、Sn/M/Sn(M = Ni, Co)多層膜Sn-b/M/Sn-t(dM = 0~13.6 nm, dSn-b = dSn-t = 25 nm)のSn層は正方晶b-Snであり(1 0 0)配向しているが、低角XRD測定の結果、結晶粒間に面内特定方位関係はないことを確認した。既報の通り、Sn層の蒸着過程における粒成長はSKモードであると推測される[1]。SQUIDを用いてSn/Ni多層膜の電気抵抗測定を行ったところ、Fig. 1に示すように、臨界温度Tc近傍における超伝導特性はCo層厚dCoの増加にともない非単調な変化を示しつつ、減少する傾向がみられた。これは強磁性Co層のスピン分極が、界面を介し隣接するSn層内において超伝導電流を形成するクーパー対に影響を及ぼす近接効果によることと、層間界面の乱れなどの微構造にも依存することによると推測される。層間界面の微構造は成膜過程における原子相互拡散を通じた局所的な合金層の形成も影響すると考える。また本研究で得られた結果から、臨界温度近傍においては、第2種超伝導体に関するTinkham理論[2]の薄膜モードが、Ginzburg-Landau理論で説明されるバルク的な振る舞いよりも支配的になる傾向が示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Sn/Co/Sn多層膜(dSn = 60 nm)の超伝導特性のCo膜厚dCo依存性。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] W. Bang, T. D. Morrison, K. D. D. Rathnayaka, I. F. Lyuksyutov, D. G. Naugle, W. Teizer, Thin Solid Films 676, 138-143(2019). [2] M. Tinkham, “Introduction to Superconductivity”, (McGraw Hill, New York, 1996).


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 熊澤宏紀,清水敬弘,天野芽,山田啓介,嶋睦宏, “電子ビーム蒸着法で作製した(100)配向-Sn/FM(FM=Ni,Co)積層膜の超伝導と磁性” 第84回応用物理学会秋季学術講演会, 令和5年9月22日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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