【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.11】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT1204
利用課題名 / Title
ナノ流路を用いたポリマー系添加剤入り潤滑油の流動特性の把握
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
トライボロジー, 高分子添加剤、流体潤滑特性,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,スパッタリング/ Sputtering,リソグラフィ/ Lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ボンディング/ Bonding,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,3D積層技術/ 3D lamination technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
平山 朋子
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
山下直輝,安達眞聡
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
岸村眞治
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
KT-103:レーザー直接描画装置
KT-104:高速マスクレス露光装置
KT-210:ドライエッチング装置
KT-209:磁気中性線放電ドライエッチング装置
KT-119:両面マスク露光&ボンドアライメント装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では、流体潤滑下で高分子添加剤が摩擦に与える影響を解明することを目的とし、マイクロ流路群デバイスに高分子添加剤を含む潤滑油を送液し、圧力-流量特性を評価した。まず、流体潤滑状態を模擬した理想すきまを実現するため、MEMS創成技術を用いてマイクロ流路群デバイスの作製を行った。極性基の量が異なる高分子添加剤を含む潤滑油を送液した結果、極性基の量に関わらず流量が低下した。また、極性基の量に関わらず、高分子添加剤を含む潤滑油送液後のデバイスに再び基油を送液すると、高分子添加剤含有潤滑油の送液前に得られた基油の流量よりも得られる流量は少なくなった。これらで得られた結果と狭小すきま摺動試験機によって得られた流体潤滑特性および中性子反射率法で得られた界面構造を合わせることで、流体潤滑下における高分子添加剤の作用を解明した。
実験 / Experimental
4インチシリコンウエハに対してi線露光装置を使用して流路形成用のレジストパターンを作製した。その後、エッチング(KT-210:ドライエッチング装置)および陽極接合(KT-119:両面マスク露光&ボンドアライメント装置)を行ってマイクロ流路群デバイスを完成させ、潤滑油を送液した際の圧力-流量特性を評価した。なおマイクロ流路群デバイスの深さはおよそ500nmとした。高分子添加剤には各種PMA系添加剤を用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
完成したデバイスに基油のモデルであるヘキサデカンを送液した。流量の安定後、PMA系添加剤をヘキサデカンに添加した潤滑油に切り替えたところ、流量が急激に減少する様子が確認された(Fig. 1)。これはPMAが流路壁面に吸着し、流路幅が減少したことを示している。この流量変化に対応するPMA吸着膜の膜厚は数十nmに及んでおり、PMAの分子量に対してかなり大きい値であった。再度ヘキサデカンに切り替えて送液した結果、元の状態と比較して流量がある程度戻る様子が確認された。以上の結果から、PMAが形成する吸着膜は単純な単分子膜状態ではなく、多層膜となっており、ヘキサデカンを再送した際に上層のPMAが洗い流されている可能性が示唆された。さらに、中性子反射率法で吸着膜厚を測定したところ、静止時にはそれほど膜厚は厚くならず、摺動時に流動抵抗が大きくなる現象が見られた。これより、高分子添加剤は表面に吸着したのち、摺動過程におけるせん断力によって凝集体を形成し、それが流量抵抗となることが分かった(Fig. 2)。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 Change in mass flow rate over time. The blue plot refers to the flow rate when hexadecane is flowing, and the green or orange plot refers to the flow rate when hexadecane with PMA is flowing into the microchannels device. (a), (b), (c), and (d) correspond to device No. 1, 2, 3, and 4, respectively.
Fig. 2 Illustration on adsorption behavior of adsorptive polymer additives and transformation of local aggregates under shear force in fluid lubrication.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究は科研費(挑戦的研究・萌芽 No. 22K18756)によって行われました
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Tomoko Hirayama, Adsorption Characteristics and Mechanical Responses of Lubricants Containing Polymer Additives under Fluid Lubrication with a Narrow Gap, Langmuir, 40, 6229-6243(2024).
DOI: 10.1021/acs.langmuir.3c03725
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件