【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UE5320
利用課題名 / Title
Ru 錯体からなる動的イオン結晶の運動状態の研究
利用した実施機関 / Support Institute
電気通信大学 / UEC
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
柔粘性イオン結晶,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,資源代替技術/ Resource alternative technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
持田 智行
所属名 / Affiliation
神戸大学大学院理学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
桑原大介
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
北田 昇雄,松橋 千尋,安部 和人,元橋 八重
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),共同研究/Joint Research
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
柔粘性イオン結晶(Ionic Plastic Crystal; IPC)はイオン電導性を示す物質として、固体電解質等への応用の観点から注目されている。IPC相は固液中間相であり、分子の重心は秩序化しているが分子配向は無秩序である。最近神戸大学で合成されたRu錯体をカチオンとする塩の一つ1-CPFSA(Figure 1)はIPC相を有しており、化学反応性が高く触媒能などの機能性を有するという特徴があり、機能性有機金属IPCへの応用が期待されている。1-CPFSA は326.5K以下では秩序相であることがわかっているが326.5K以上の高温相の状態は分かっていない。本研究では1-CPFSAについて326.5K以上の高温相での電子状態、運動状態を解析するため、固体NMRの手法を用いて研究を行った。
実験 / Experimental
本研究では1-CPFSAについて13Cの静止粉末スペクトルを測定してイオン結晶の電子構造、運動状態を明らかにすることを試みた。自然存在比の13Cを含む試料で静止粉末スペクトルを測定すると、いくつかの粉末スペクトルが重なり合って解析が困難となる。本研究では理論スペクトル近い静止粉末スペクトルを得るために、陽イオン部のCO炭素を13Cで同位体置換した。またNMR測定では以下の3種類の実験を行った。
(1) 室温、回転周波数15kHzにて13C MAS(magic-angle-spinning)測定
(2) 室温、回転周波数0HzにてHahn-echoの測定(室温にて13C静止粉末スペクトル測定)
(3) 60℃、回転周波数0HzにてHahn-echoの測定(60℃にて13C静止粉末スペクトル測定)
結果と考察 / Results and Discussion
(1)の実験からは1-CPFSAの13C固体高分解能NMRスペクトルが得られた。13COの共鳴線強度が他の共鳴線強度に比較して10倍以上の強度を有していることから、陽イオン部COの炭素は13Cで同位体置換できていることが確認できた。また実験 (2), (3) のHahn echo測定から、秩序相(常温相)における1-CPFSAの陽イオン部分には2種類の電子状態-軸対称な電子状態と非軸対称な電子状態-があり、高温相に遷移する際に軸対称な粉末スペクトルに対応する電子状態が失われ、1種類の非軸対称な電子状態だけとなることがわかった。さらに非軸対称な電子状態をもつ陽イオン部は、高温相では分子軸周りに歳差運動を行っていると結論づけることができた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Figure 1. 1-CPFSAの構造
Figure 2. 1-CPFSAの13C静止粉末スペクトル。室温にてHarn echoで測定した。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件