利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UE5283

利用課題名 / Title

CVDおよび液相法により合成した各種ナノカーボンの透過型電子顕微鏡および顕微レーザーラマン分光計を用いた構造評価

利用した実施機関 / Support Institute

電気通信大学 / UEC

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

カーボン系材料,燃料電池/ Fuel cell,電極材料/ Electrode material,ナノカーボン/ Nano carbon,ナノ粒子/ Nanoparticles,ナノチューブ/ Nanotube


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

山際 清史

所属名 / Affiliation

帝京科学大学生命環境学部自然環境学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

木村 優里

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

北田 昇雄,桑原 大介

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UE-006:顕微レーザーラマン分光計


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 カーボンナノチューブ(CNT)の合成法としては化学気相成長(CVD)法が知られており、その合成には、黒鉛化触媒として知られるFe、Co、Niなどの金属ナノ粒子が必要である。申請者は低コストかつ常圧で短時間のCNT合成が可能である液相一段合成法を開発し、一連の研究を進めている[1]。液相法は有機金属錯体や金属塩(CNTの成長触媒前駆体)を溶解したアルコール(炭素源)中で導電性基板を抵抗加熱することでCNTを得る方法であり、CVD法と比べて炭素源や添加物などの組み合わせが多様という利点がある。本研究では新たな触媒として、中程度の黒鉛化触媒能を有することで知られるパラジウム(Pd)に着目をした。液相一段合成法においてパラジウムを触媒に用い、生成物の形態に与える効果を検討し、また顕微レーザーラマン分光計(JASCO NRS-3100)により生成物の黒鉛化度についての知見を得た。

実験 / Experimental

 炭素源のアルコールにCNTの成長触媒の前駆体としてパラジウム塩を適量添加し、合成溶液を調製した。比較としてコバルト塩のアルコール溶液も調製した。基板材料にはステンレス鋼(SUS304)を用い、溶液中で直流電圧を印可し、表面温度が750℃-950℃となるよう調節して5分間抵抗加熱した。合成後の基板表面の生成物について走査型電子顕微鏡(他機関)、透過型電子顕微鏡(他機関)、顕微レーザーラマン分光計(電気通信大学、JASCO NRS-3100)を使用してキャラクタリゼーションを行った。ラマンスペクトル測定は、合成後の基板のカット片を直接試料台に固定し、測定を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

 SEMによる観察から、合成温度750℃においてコバルト触媒系ではCNTの配向成長が見られたが、パラジウム触媒系では特徴的な集合構造を有するナノサイズの繊維状生成物が観察され、合成温度850℃において最も収量が多かった。TEMによる観察から、繊維状生成物は中空部分が狭い直径~15 nmのCNTであった。ラマン分光測定による結果の比較をFig. 1に示す。一般的に、D-バンド(~1340 cm-1)とG-バンド(~1580 cm-1)の面積比(ID/IG)が小さいほど欠陥構造の少ない(黒鉛化度が高い)炭素材料である。ID/IGはパラジウム触媒系のCNTの方が大きく、コバルト触媒系のCNTと比べて黒鉛化度が低いことが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1. Raman spectra of CNTs prepared by the liquid-phase synthesis.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献 [1] K. Yamagiwa, J. Kuwano, Material Chemistry and Physics, 204, 323 (2018).
謝辞:本研究の一部は、JSPS科研費22K04704の助成、また文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業(課題番号:JPMXP1223UE5283)の支援を受けた。
A part of this work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number 22K04704 and “Advanced Research Infrastructure for Materials and Nanotechnology in Japan (ARIM)” of the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT), Grant Number JPMXP1223UE5283.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. “機能性ナノ材料の創製と応用 -先端材料を環境に優しいプロセスで創製!-”, 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2024),山際 清史,4W-01-6,東京ビッグサイト,2024年2月.
  2. “カーボンナノ材料の液相一段合成とその応用”, 木村 優里,吉本 京介,鯉登 羅偉我,山際 清史,第50回炭素材料学会年会(炭素材料学会主催),P02,仙台,2023年12月.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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