利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.17】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UE0101

利用課題名 / Title

新超伝導体の開発

利用した実施機関 / Support Institute

電気通信大学 / UEC

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

超伝導,ハイエントロピー合金


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

村中 隆弘

所属名 / Affiliation

電気通信大学情報理工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

北田 昇雄,松橋 千尋

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UE-020:超伝導量子干渉型磁束計
UE-001:超伝導量子干渉型磁束計
UE-002:高磁場多目的物性測定システム
UE-018:精密構造解析用X線回折装置
UE-011:電子線元素状態分析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

超伝導物質は、物質固有の超伝導転移温度Tc、上部臨界磁場Hc2、臨界電流密度Jc範囲内でのみ超伝導状態を示す。超伝導線材としての応用を見据えた場合、超伝導転移温度Tcだけではなく、Hc2, Jcが高い物質ほど用途が増え有用な物質となる。Hc2が高くなる物理的な要因の一つとして結晶構造の反転対称性の欠如が指摘されており、その観点から既存の超伝導線材であるNbTi(Tc~9K)に近いTcを示すβ-Mn型構造超伝導体が注目を集めている。本研究課題では、高強度、高延性、高靭性、熱的安定性など優れた特性を示すことが知られている高エントロピー合金の機能性向上のメカニズムに着目した。β-Mn型構造では高エントロピー合金の報告例が極端に少ないため、β-Mn型構造超伝導体Mo7Re13B(Tc=8.2K, Hc2=12.2T, Jc~2kA/cm2)の結晶内エントロピーを増大させた新超伝導物質を合成し、Jc特性の向上を目指した。

実験 / Experimental

試料作製は、Mo7Re13BのMoサイトの一部をW, Cr, Pdに、Reサイトの一部をRuに置換した物質を所定のモル比で混合成型したペレットをアーク溶解法を用いて溶解させ合成した。合成された試料は、精密構造解析用X線回折装置を用いて粉末X線回折測定によって試料中に合成された相の同定を行い、電子線元素状態分析装置による表面観察から、試料組成の定量評価を行った。超伝導量子干渉型磁束計(MPMS3, MPMSXL-7), 高磁場多目的物性測定システム(PPMS)を用いて、直流磁化率の温度依存性, 直流磁化の磁場依存性, 電気抵抗率の磁場・温度依存性測定を行い、Tcの評価、Jc, Hc2を見積もった。

結果と考察 / Results and Discussion

試料合成の結果、(Mo2.5W2.5CrPd)(Re12.5Ru0.5)Bの合成に成功し、混合エントロピー(ΔS)は1.21Rとなり、ミディアムエントロピー合金と呼ばれる物質となる。物性評価から、Tc=6.2K, Hc2=8.7Tと母物質の値より低い値となったが、磁化測定法から算出したJcは約6kA/cm2(Fig.1)と母物質から約3倍向上した。この結果から、試料の高エントロピー合金化は、Jc特性向上に有効であるとわかった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 : (Mo2.5W2.5CrPd)(Re12.5Ru0.5)BのJc特性


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 青木友希, 中村亮, 村中隆弘, 18aPS-76, 日本物理学会第78回年次大会(2023年), 2023年9月18日
  2. 宮下朋之慎, 越川圭太, 中村亮, 村中隆弘, 18pPSA-6, 日本物理学会第78回年次大会(2023年) , 2023年9月18日
  3. 中村亮, 村中隆弘, 18pPSA-7, 日本物理学会第78回年次大会(2023年) , 2023年9月18日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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