利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.23】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UE0023

利用課題名 / Title

硝酸塩水溶液中における重原子の希釈濃縮シフトの研究

利用した実施機関 / Support Institute

電気通信大学 / UEC

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

桑原 大介

所属名 / Affiliation

電気通信大学研究設備センター

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

朝倉由光,藤井俊介

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

北田 昇雄,松橋 千尋,安部 和人,元橋 八重

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UE-003:溶液NMR装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

重原子硝酸塩の水溶液のNMRスペクトルを測定すると、硝酸塩の濃度によって重原子の化学シフトが変化することが知られている。本研究では硝酸鉛水溶液について硝酸塩濃度を希釈状態から準飽和状態まで変化させて、207PbのNMRスペクトルを測定した。さらに相対論的量子化学計算を行って、スピン軌道相互作用が207Pbの化学シフトの変化に及ぼす影響を調べた。

実験 / Experimental

硝酸鉛の水溶液について希釈状態から準飽和状態まで硝酸塩濃度を変化させて1次元207Pb NMRスペクトルの測定を行った。1次元207Pb NMRスペクトルは常温常圧で測定した。Pb2+の水和構造は量子化学計算プログラムADFで構造を最適化した。硝酸鉛水溶液の無限希釈状態と飽和状態に対する207Pb化学シフトは、相対論的量子化学計算プログラムRespectを使って計算した。

結果と考察 / Results and Discussion

Figure 1は、硝酸鉛水溶液の硝酸塩濃度を0.1mol/L(希釈状態)から1.5mol/L(準飽和状態)まで変化させて207PbのNMRを測定した結果である。希釈状態から準飽和状態に向かうにつれて207Pbの共鳴線が高磁場側に約70ppmシフトしていることがわかる(本研究では希釈状態から濃縮状態への変化で観測される化学シフト変化を希釈-濃縮シフトと呼ぶ)。参考データとして硝酸ナトリウムについても同様の実験を行った結果、化学シフトの変化(希釈-濃縮シフト)は0.5ppmであった。207Pbの希釈-濃縮シフトは非常に大きく23Naのそれはほぼゼロということから、この希釈-濃縮シフトという現象は水和したイオンの質量すなわち原子番号とともに増大すると考えられる。本研究では、原子番号とともに増大するスピン軌道相互作用を考慮して相対論的量子化学計算を行い、水和イオンの核内部のスピン密度を可視化することを試みた。その結果、準飽和状態では207Pb核内にαスピン密度が偏在している様子を明らかにすることができた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Figure 1


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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