【公開日：2024.07.25】【最終更新日：2024.06.12】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23CT0134
利用課題名 / Title
ココア乳化物に係る化合物の分子分光分析と構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
公立千歳科学技術大学
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials（副 / Sub）-
キーワード / Keywords
光学顕微鏡/ Optical microscope,赤外・可視・紫外分光/ Infrared/visible/ultraviolet spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
川端 庸平
所属名 / Affiliation
酪農学園大学農食環境学群食と健康学類
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
（主 / Main）機器利用/Equipment Utilization（副 / Sub）-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
CT-002：フーリエ変換赤外分光光度計（FTIR)/赤外顕微鏡
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ココア飲料はカカオ豆をすり潰した粉末を牛乳や水中に分散させた飲み物である。
カカオ繊維が主たる成分であるが、ココアバター（油脂）が20％含まれておりO/W型の乳化物である。
この乳化物を安定化させることが飲料製造にとって極めて重要であるが、その乳化機構については未解明であり、カカオ豆に含まれるどのような成分で乳化されているか調べることが重要である。そこで本研究では、顕微赤外分光法を用いてココアバターの乳化安定性に寄与する化合物を明らかにすることが目的である。
実験 / Experimental
実験は日本分光製のフーリエ変換赤外分光光度計（FTIR)/（赤外顕微鏡FT/IR-6600IRT-5200）を用いた。試料は80℃の条件下で純ココア5gと同量の粉糖を水（90℃以上）と混ぜ合わせ、ペンシルミキサーで攪拌してココア飲料モデルとした。さらにこれを遠心機を用い1分間10000 rpmで油分（乳化物）を分離して試料とした。試料は金基板状にキャストし、溶媒である水分を蒸発させて水の吸収を抑えて観察を試みた。
結果と考察 / Results and Discussion
図１は乾燥した乳化物を顕微鏡で観察した画像である。矢印で示す部分がココアバターの油滴である。画像中の四角が顕微赤外のアパーチャーサイズに相当し、油滴中心近傍をポイント測定した結果が図2赤曲線で示したスペクトルである。参照スペクトルとして測定したココアバター結晶のスペクトルと類似し、油脂以外のスペクトル、即ち乳化に寄与する化合物由来のピークが露に観察されなかった。
そこで、図3で示す顕微鏡画像の乳化滴についてマッピング測定を行い、主成分分析からココアバター以外の成分が存在するか検証した。図3か４つのマッピングイメージは上から主成分1～5に対応するもので、図4に各主成分のローディングスペクトルを示した。主成分2のスペクトルはココアバターのスペクトルに対応するが、主成分1、3、4においてはココアバターのピーク位置とは異なるピークが観測された。今後これらのスペクトルが乳化滴周りに吸着するカカオ繊維、脂質等の化合物由来であるか検証を進める必要がある。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 乾燥したココア乳化物の顕微鏡写真
図2 乳化物（ココアバター油滴）の顕微赤外スペクトルと参照スペクトル（ココアバター結晶）
図3 乾燥した乳化物の顕微鏡写真とその周辺で測定した赤外マッピング画像（上から主成分１～5）。
図4 主成分分析で得られたローディングスペクトル
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件