【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.04】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23KT0054
利用課題名 / Title
生分解性金属表面におけるアパタイトコーティング
利用した実施機関 / Support Institute
京都大学 / Kyoto Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
生分解性金属,アパタイト,コーティング,電子顕微鏡/ Electronic microscope,バイオアダプティブ材料/ Bioadaptive materials,生分解性材料/ Biodegradable material,集束イオンビーム/ Focused ion beam,細胞・組織再生誘導材料/ Materials for inducing cell and tissue regeneration
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
薮塚 武史
所属名 / Affiliation
京都大学大学院 エネルギー科学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
木田俊太郎,船守萌海
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
根本隆,鈴木博
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Mg合金は高い比強度と生体吸収性を有する一方で、埋入初期での強度低下の点において臨床応用上の課題がある。近年我々は、陽極酸化処理したMg-Al-Zn合金、Mg-Al-Zn-Ca合金を、リン酸カルシウムに対して過飽和な水溶液(以後、CaP溶液と表記する)に常温常圧で浸漬することにより、合金表面に生体吸収性リン酸カルシウムの一種であるリン酸八カルシウム(OCP)被膜が形成され、擬似体液(SBF)中での耐食性が向上することを明らかにしている[1,2]。生体吸収性金属を常温常圧プロセスにより生体吸収性セラミックスによりコーティングする技術は、生体内における金属の分解速度をコントロールする有用な技術の一つとして位置づけられる。本研究では、合金成分にAlを含まないMg-Zn-Zr合金(ZK60A)の表面に、常温常圧の水溶液法によりOCP被膜を形成させ、被膜性状の変化を観察した。
実験 / Experimental
ZK60Aの表面をSiC 研磨紙を用いて研磨した。作用極をZK60A、対極をPtとして、1 M NaOH水溶液中でZK60Aの陽極酸化処理(印加電圧15 V、3分)を行い、純水中で超音波洗浄し、室温で乾燥させた。次いで、陽極酸化処理後のZK60A合金を7.5 mM Ca2+、3.0 mM HPO42-を主成分として含むCaP溶液(pH=6.0、36.5℃)[1,2]に12時間浸漬したのち、アセトン中で超音波洗浄し、室温で乾燥させた。陽極酸化処理前後、ならびにCaP溶液処理前後のZK60A合金表面について、SEM/EDX、FIB-SEM、XRDを用いて観察および分析を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
陽極酸化処理後CaP溶液に12時間浸漬したZK60A表面のXRD測定において、OCPに帰属する回折ピークが検出された。このことからZK60A表面におけるOCPの形成が示唆された。CaP溶液浸漬後のZK60Aの表面および断面をSEM/EDXおよびFIB-SEMで観察したところ、鱗片状結晶からなるOCP被膜が基板表面全体に形成されたことがわかった。以上の結果より、ZK60AをNaOH水溶液中で陽極酸化処理し、次いでCaP溶液に12時間浸漬することにより、OCPを主要な構成成分とする生体活性層が合金表面全体に形成されたことが示唆された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 SEM image of the surface of ZK60A treated with anodic oxidation and subsequently immersed in CaP solution for 12 hours.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] S. Watanabe, T. Yabutsuka, S. Takai, Key Eng. Mater., 782, 158-164 (2018).
[2] K. Takaishi, S. Takai, T. Yabutsuka, J. Ceram. Soc. Japan, 130, 81-87 (2022).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Shuntaro Kida, Shigeomi Takai, Takeshi Yabutsuka, "Aqueous Solution Synthesis of Calcium Phosphate Coatings on Bioabsorbable Mg-Zn-Zr Alloy Surfaces", The 21st Asian BioCeramics Symposium (2023年12月17日).
- 木田俊太郎, 高井茂臣, 薮塚武史, "生体吸収性 Mg-Zn-Zr 合金表面におけるリン酸カルシウム被膜の水溶液合成", 第25回生体関連セラミックス討論会 (2023年12月1日).
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件