利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23SH0005

利用課題名 / Title

TOF-SIMSを用いた5億年前の節足動物の科学的研究

利用した実施機関 / Support Institute

信州大学 / Shinshu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,質量分析/ Mass spectrometry


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

田中  源吾

所属名 / Affiliation

熊本大学 くまもと水循環・減災研究教育センター

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

柳原彩里

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

菊地理佳

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

SH-006:飛行時間型二次イオン質量分析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

5億年前の節足動物化石は,微小な化石が三次元的に軟体部まで保存されている.当該化石は,表面がリン酸カルシウムで交代しているが,生物体オリジナルな成分が保存されているか否かについての報告もない.そこで,化石を樹脂包埋あるいは薄片を作成し,ToF-SIMS分析を行うことによって,有機物が残存しているか否かを検討する.結果が出次第,論文としてまとめる.  

実験 / Experimental

拾い出したホスファトコピナを樹脂に包埋した.樹脂の研磨を行い,殻断面が出るような研磨断面を作成した.樹脂を蒸留水で水洗後,99%アルコールで洗浄を行った.ホスファトコピナが包埋された樹脂をアルミホイルで包み,信州大学の菊地様に分析を依頼し,殻内部にキチン(有機物)が存在するかどうかの分析をToF-SIMSを使って分析を行った.現生甲殻類の介形虫,カマアシムシ,カシラエビについて背甲の化学分析を行い,最新の系統樹をもとに背甲の進化史を検討した.

結果と考察 / Results and Discussion

背甲のTOF-SIMS 分析では,Phosphatocopina が含まれる岩石試料ごと研磨し,殻断面の研磨試料を作成し,殻表面と殻内部の化学成分を測定した.殻全体にリン酸が確認され,背甲の内部にキチン由来と考えられる分解産物が確認された.キチン由来とみられる化学物質が検出された背甲断面について,SEM観察を行ったところ,現生の海生甲殻類に見られるファイバー構造が確認された.系統樹をもとに考察したところ,キチンファイバーは,甲殻類の祖先形質であると考えられる. Phosphatocopina の背甲の内部にはキチンの構造が部分的にではあるが残っており,キチンファイバーを用いた海洋生物の背甲の形成が,5 億年前にまでさかのぼれることが分かった.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

なし(現在,国際誌に投稿中です)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 栁原彩里・田中源吾 ”上部カ ンブリア系エイラム頁岩層中の節足 動物の殻構造”日本古生物学会173回例会(仙台),令和6年1月27日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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