【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22AE0030
利用課題名 / Title
高性能MOS型パワーデバイス実現に向けたヘテロ界面評価とその制御技術の開発
利用した実施機関 / Support Institute
日本原子力研究開発機構 / JAEA
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
GaN,スパッタ成膜,XPS
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
渡部 平司
所属名 / Affiliation
大阪大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
小林拓真,野崎幹人 ,溝端秀聡
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
吉越章隆
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
縦型GaN MOSFETの高性能化にはSiO2/GaN MOS界面の高品質化が不可欠である。我々はSiO2/GaN界面のGaOx層は後熱処理に対して不安定であり、MOSデバイスの閾値変動の原因となることを指摘した。そこで本研究では、スパッタSiO2成膜に立脚し、不安定な界面GaOx層の形成を抑制した。さらに、GaOx層が成長しない低温条件で酸素熱処理および水素熱処理を実施することで、界面特性・絶縁性の優れたGaN MOS構造の実現を目指した。
実験 / Experimental
実験にはn型GaN(0001)面エピ層([Si]: 2 × 1016 cm-3)を用いた。まず、スパッタ成膜により約20 nmのSiO2膜を堆積した。この際、ターゲットにはSiO2を用い、室温・Ar雰囲気下で成膜を行った。絶縁膜形成後、200 – 800°C 30分の酸素熱処理を行った。最後にNiゲート電極(直径100 μm)およびAl裏面電極を真空蒸着し、3% H2/N2 雰囲気で400°C30分の熱処理を行うことでMOSキャパシタを作製した。同時に界面GaOx層の観察を目的とし、薄膜SiO2/GaN試料(SiO2厚: 約2 nm)を用意し、放射光XPS分析を行った。分析には、SPring-8 BL23SUの表面化学実験ステーション(SUREAC 2000)を用い、光電子脱出角度は90°、X線エネルギー1253.6 eVの条件で測定を実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
我々はスパッタ成膜によりSiO2膜を形成することで、プラズマCVD法に比べ、不安定な界面GaOx層を抑制できることを既に見出している。しかし酸素雰囲気での後熱処理過程でGaOx層が成長しては本末転倒である。そこでまず、酸素熱処理に伴うGaOx層成長を放射光XPS測定により観察した。規格化Ga 2p3/2スペクトルのGa-O結合成分の強度に着目すると、600°C以下の酸素熱処理では界面GaOx層成長が抑制できることが分かった。実際にその後の希釈水素熱処理に対する容量-電圧(C-V)特性の変動を観察しても、600°C以下で酸素熱処理を行った試料では、負方向への電圧シフトが抑制できた。負方向シフトはGaOx界面層の還元によって生じるため、本結果は放射光XPSによる物理分析結果と整合する。GaOx層の成長しない600°Cでの酸素熱処理、及び400°Cでの希釈水素熱処理を組み合わせることで、電圧シフト・周波数分散・ヒステリシス全て小さい良好な界面特性のGaN MOSデバイスの実現に成功した。また、酸化膜の絶縁破壊電界強度も約8 MVcm-1と良好であることを確認している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は、文部科学省革新的パワーエレクトロニクス創出基盤技術研究開発事業(JPJ009777)およびJSPS科研費(19H00767)の助成を受けた。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- K. Onishi, et al., International Workshop on Nitride Semiconductors 2022, PP 252, Oct. 11 (2022).
- 大西健太郎他, 先進パワー半導体分科会 第9回講演会, IA-3, 12月20日 (2022).
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件