利用報告書 / User's Report | ARIM Japan公式ホームページ_マテリアル先端リサーチインフラ

【公開日：2023.08.01】【最終更新日：2023.07.31】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AE0021

利用課題名 / Title

溶解度制限固相の形成における共存核種・イオンの影響の解明に向けた構造学的アプローチ

利用した実施機関 / Support Institute

日本原子力研究開発機構

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-

【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies（副 / Sub）-

キーワード / Keywords

水酸化物共沈,形状・形態観察,XANES,EXAFS

利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)

小林大志

所属名 / Affiliation

京都大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

好川祐樹

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

松村大樹,池田篤史,元川竜平

利用形態 / Support Type

（主 / Main）共同研究/Joint Research（副 / Sub）-

利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AE-006：エネルギー分散型XAFS装置

報告書データ / Report

概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

放射性廃棄物処分の安全評価では、廃棄物に含まれるアクチノイド核種や核分裂生成核種の地下水への溶解度を把握することが求められる。これまで個々の核種と地下水条件に応じた溶解度が調べられ、安全評価における溶解度制限固相が設定されているが、想定される実際の処分環境では、核種は単一元素として存在するのではなく、複数の核種が混在する。そこで、本研究では、アクチノイド核種としてウラン(IV)、核分裂生成核種としてジルコニウム(IV)に着目し、両核種の混合溶液から固相を沈殿させた。異なる溶液条件下で振とうした共沈固相の状態をX線吸収分光法（XANESおよびEXAFS）によって詳細に調べた。

実験 / Experimental

実験では、Ar雰囲気グローブボックス内において、まず、ウラン(IV)およびジルコニウム(IV)の酸性母溶液をU/Zrモル比が1/9、5/5および9/1となるように混合した。次に、NaClまたはCaCl₂により溶液のイオン強度（I）がI = 0.5 Mとなるように調整しながら、NaOH水溶液を滴下してpHを8および12に調整した。また、試料溶液には、還元剤として亜ジチオン酸ナトリウム1 mMを加えた。それぞれpHにおいて試料溶液を分取し、25℃または70℃の恒温器内で約1カ月間振とうした。試料溶液のpHおよびEhを再び測定した後、固相を取り出し、SPring-8のBL14B1エネルギー分散型XAFS(DXAFS)装置を用いて、ZrのK-edgeおよびUのL_III-edgeにおいてX線吸収スペクトルを取得した。

結果と考察 / Results and Discussion

図1にU/Zrモル比9：1、70℃の条件下で振とうした固相（I = 0.5 M NaCl、pH）のZr K-edgeにおけるXANESスペクトルを、結晶酸化物（S6-ZrO₂）およびアモルファス水酸化物（S5-Zr(OH)₄）のそれとともに示す。pH8で振とうした固相試料（U91-7008N_C5）のスペクトルは、Zr(OH)₄のスペクトルと類似したような形状を示し、同条件下での固相はZr(OH)₄である可能性が高いと考えられた。一方、pH12で振とうした固相試料（U91-7012N_C7）のスペクトルは、18,026 eV付近の肩ピークがやや顕著になるような結果となった。このようなpHによるスペクトル形状の違いは、U/Zrモル比5：5および1：9の固相試料でも同様の傾向が見られており、70℃、pH12で振とうすることにより、アモルファスZr(OH)₄とは異なる固相状態へ変化していると考えられた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations

図1　 U/Zrモル比9：1、70℃、I = 0.5 M NaClにおけるZr K-edgeのXANESスペクトル

その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)

成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)

口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.

特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件